かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

私と公文式(5) The ワープ!

私、ワープしたことがあるんです。と言うと、なんだかヤバい人のように聞こえますが、もそっと言葉を補うならば、私は国語の教材で二〇〇枚ほどすっ飛ばして学習していたことがあるのです。G1の101番から気が付いたらG2の101番まで、某宇宙戦艦ば…

塾生心得 ことばの話

よく大学生には、図書館で調べた専門書の言葉をそのまま論文に引用して、結果的に何が言いたいのかよく分からなくなっている人がいます。これは第一に、使用した言葉がまさに借り物状態で、それが自分の深く理解している《ことば》でないというところに問題…

盆・再考 波平さんを想う

「盆栽とは?」と世の中の人々に問いかけるとします。大方の人はやはり、おじいちゃんの趣味、あるいは直感的に「波平さん!」と応えることでしょう。波平さんが日当たりの良い縁側で、松の盆栽をチョキチョキしている。たまにカツオ君が野球ボールで棚場の…

定点観測(2) ごはん粒便り

宿題の採点とは機械的な作業であるけれど、機械にはとうてい向かない作業である。 その筆跡から、彼や彼女の調子をみる。その筆圧から、その宿題を書いた日の気分だとか、やる気のほどを想像する。そしてプリントにくっついているごはん粒から、だいたい何時…

盆・歳時記 其の六

夏越し それは酷烈な季節であった。なんて文学的な述懐をこのところ毎年のように繰り返さねばならない。遮光したって地べたからの輻射を免れるわけではない。日に三度の水やりは茹で釜と化した鉢を冷まさんがためでもある。挙句の果てには鉢ごと土中に埋めて…

私と公文式(4) リピートしたいお年頃

「ピッて、したの?」「もう一回、ピッして、聞いてみらいん。」なんて、昼から晩まで随分ピーピー言っている。それもそのはずで、最近の公文の教室にはピーピー言う機械が随分と増えました。生徒が来た時と帰る時に、ピッ。英語の教科書やプリントに、ピッ…

定点観測(1) 待合室

「定点観測」と銘を打って、公文のスタッフ机から私の見る風景を描いてみようと思います。母の経営する「あゆの里」教室、妻として営む「ほなみ教室」、それぞれにキャラクターがあって、なかなか観察対象には事欠きません。それは私にとって、およそ日常の…

盆・歳時記 其の五

仕立て鉢 素焼きの鉢、あるいはダオン鉢なんて言い方をする。これに入っているのは、挿して一年、二年生の若手だったり、永らく棚場のスタメンを張ってきたけれど、惜しいかな故障につき二軍で調整中のベテランの樹だったりする。 風通しの好い快適な療養所…

塾生心得 国語の話

『国語をおろそかにする人は、英語なんて出来やしないし、数学だって分からない。』少し乱暴な物言いですが、これは私の持論です。 国語という教科は、私たちの母国語である日本語という言語を使いこなすための練習です。そう言うと、中には「いやいや、フツ…

私と公文式(3) 隣は何をする人ぞ

丁度、羽生さんが「やってて良かった公文式。」とテレビで連呼していた時分でしたか、当時は天才棋士の絶大な宣伝効果でだいぶ人が入ったのだとか。擦り切れた畳の上に煎餅座布団が敷いてあって、横長の座り机に三人四人と、ずらり私を含めたちびっ子が並ん…

盆・歳時記 其の四

樹形 水戸黄門や寅さんの物語パターンにテレビの前の我々がホッとさせられるのと同じように、盆栽にも一応基本の型がある。そしてそれが芸術を観る際のほどよい導入となってくれるのは、「型」と名付けられるものの本質である。 さはれ盆樹という盆樹が、み…

私と公文式(2) 宿題ラプソディ

小学校に入ったら毎日「宿題」というものが出されて、そいつを小学生というものはヒイヒイ言いながら解くものなのだ、だから自分もまたのび太君みたいに目から星なんか飛ばしながら、山のような宿題をガリガリこなすのだ、と密かな憧れを持っていました。ド…

私と公文式(1) 序

まずは手前の私塾を紹介せねばならぬのに、なぜ公文式なのか。話せばまあそれなりに時間がかかるので、かいつまんで申せば、私が今も昔も公文式とずぶずぶの関係にあって、公文をして育ち、現在は「かたつむり学舎」を営みつつ、その外の時間で母と妻の経営…

盆・歳時記 其の三

実生 イイ歳をしてガキの頃より熱心に、いや血眼になって公園のドングリを拾っている。まずは発芽するかどうか、そして如何な性分の樹が出てくるか、これもまた、かつて親しんだガチャガチャの感覚である。 およそ盆栽が市場を通して我々の手許へ渡るとなる…

盆・歳時記 其の二

針金かけ 教壇に立っていた頃より、よっぽど教育らしいことをしている。なんてことを思いつつ今日も針金をかけている。方向を修正したり、立ち上がってしまった枝を下げたり引っ張ったり、将来そうなってほしいヴィジョンが明確でなければ、いたずらに樹を疲…

かたつむりの歩み

なぜ当方の屋号が「かたつむり」なのか、ということを問わず語りに語ってみようと思います。 かたつむりは、それなりに丈夫な殻と、やわらかな身体を持っています。同じ殻ならば「ヤドカリ学舎」のほうがよほど頑丈そうですが、私がかたつむりに魅かれるのは…

盆・歳時記 其の一

盆栽との付き合いをはじめてこの方、さまざまのことに気づかされている自分があることに気づかされる。盆栽との生活、またその折々の作業にふれて、つらつら思うことを書き留めたものをご紹介申し上げます。 盆栽棚 理想の棚は波平さんのそれである。こぢん…