かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

塾生心得「それって、オフライン?」前編

通分の習い始めは、まず約分の逆をするところから。今まで分子と分母を同じ数で割っていたのを、今度は分子と分母に同じ数をかける操作が必要になるわけです。 「約分の逆だ」とすぐに気づく子はきっと、何だよこの間までせっかく約分して小さくしてきたのに…

定点観測(35) アウェーでホトケ

検定試験にやってくる子供の顔を見るのが好きだ。 送ってきてもらった車を直立不動で見送って、試験会場となる公文の教室に、ロボットみたいな動きで入ってくる。 それが普段通っている教室ならまだマシなのだろうけれど、持ち回りで余所の教室ともなると、…

盆人漫録(15) 盆栽人の粋

近隣の盆栽会の顔なじみが尋ねてきてくれるのも、展示会をやる愉しみのひとつであります。 朋ありて隣町より来る。リポビタンや缶コーヒー、エンゼルパイの差し入れを引っ提げて、陣中見舞いに来てくれます。 このごろのコロナ流行りのせいで、久しく行き来…

弟子達に与うる記(7) 謝るならば

教育実習に行った経験がある方ならば、実習日誌を落っことすヤバさは十分にご承知でありましょう。何せこれを完成させて提出しないことには、実習に行ったことにならず、単位も教員免許もおりないのです。 最終日の打ち上げで、呑むペースを完全に乱した私は…

弟子達に与うる記(6) わが失敗録

この間は酒に関する話をしたから、補足の意味も込めてわが失敗談をしておこうと思います。 わが学生時代における大失態は二度。そしてそのいずれにも酒がからんでいるわけですから手に負えませぬ。これからを生きる君たちには、私の大失態を教訓に(?)素晴ら…

教育雑記帳(24) 両立って可能ですか?

よくある塾の触れ込みに「勉強と部活の両立をサポートします!」というのがあります。 地方へ行けばいくほど、そんなニーズが高まるように思うのは、この地に学び舎を営んでいる私だけでしょうか? なるほど勉強と部活動の両立は、普通の公立中高に通う学生…

蝸牛独読(5)「くまさぶろう」を読む#2

一、skillful robber テクストは冒頭から第一の謎を投げかけて来ます。「どろぼうのめいじん」と紹介されるくまさぶろうでありますが、何と彼は「はじめのころ」「それほど じょうずなどろぼうでは」なかったというのです。 まず「はじめのころ」とは、いつ…

蝸牛独読(4)「くまさぶろう」を読む#1

みなさんは『くまさぶろう』という絵本をご存知でしょうか? 名前のインパクトもさることながら、お話もくまさぶろうのビジュアルも、一度読んだら忘れられない一冊となることは間違いないでしょう。 では「くまさぶろう」とは一体、何者なのか? くまさぶろ…

私と公文式(24) 謎のお楽しみ会

私が小学校高学年の時でしたでしょうか、母が教室を開設しました。そんな母から「これまで通っていた教室ではどんなイベントをしていたのか」という質問を受けた現役公文生の私は「公文には必ずお楽しみ会があるものだ」と提言したのを覚えています。 そんな…

盆人漫録(14) 構ってちゃん登場

もちろん展示を見に来てくださるのは、盆栽愛好家の方々ばかりではありません。そんな方々にこそ盆栽の面白みを発見してほしい、と展示会をやっているわけなのですが、やっぱりどうして、困ったお客さんというのもあります。 エー、そんな中には随分とエバっ…

盆人漫録(13) そのお客、玄人につき

かつての酒蔵を改装して、少しく気の利いた照明設備を取り付けたギャラリーが、私たちの展示会場、その名も「蔵」であります。 一時期は図書館にまで進出したわれわれ同好会でしたが、会員減少=鉢数のいかんともし難い減少には抗えず、もとの鞘である「蔵」…

教育雑記帳(23) 点と点

私塾をはじめたばかりの頃は、けっこうニガイ経験をしたものです。 その子は中学の二年生でやってきたのですが、別に公文をしていたわけでもなければ、これといって勉強が出来ないわけでもない、という生徒でありました。 テストの成績を上げて、それなりの…

軍隊学校之記(14) 迷子な青春

教室で喫茶の習慣をはじめたのは、受験も近くなった三年生の頃でしたでしょうか。 勉強道具より他にさしたる用具もないので、そのまま打ち遣られていたロッカーに、お湯の入った水筒と粉末タイプのミルクティーを持ち込んだのがはじまりでありました。 それ…

塾生心得 正しく選ぶ為に 後編

前回私は「義務教育」の意義を、一個人が主体的に「選択」するためのスキルを涵養するところにあると述べました。情報を読み解くリテラシー能力、そして社会と人と適切に関わっていく能力こそが、私たちに正しく判断し、そして「選択」するための足がかりを…

塾生心得 正しく選ぶ為に 前編

なぜわれわれは、自分から望んでもおらぬのに「義務教育」を受けなければならないのでしょうか? なぜこの国の大半の人々が、それを修了した後もわざわざ高等学校へ行き、今や結構な割合で大学へ進学するのでしょう。諸君はそんなことを考えた経験はあります…

定点観測(34) DJとの夕べ third session

夕方にもなると、前の方の席を使う小さい子たちもまれになってくる。 処理済みの成績ファイルやら何やらを、私がそこに仮置きしてうずたかく盛り上げていると、きまってそこへやってくるのがDJである。 ニコニコしつつも、ちょいと申し訳なさそうな顔をし…

国語の時間「わりきれない気持ち」

「楽しみでもあるけれど、不安でもある。」「表面的には嬉しいのだけど、心のどこかに哀しみを覚えている自分もいる。」などなど。 こんな風に、人の気持ちというものは時に複雑な様相を呈するものです。もちろんそれは小説の登場人物も同じことであり、ため…

私と公文式(23) お菓子と集中学習

私が通っていた教室では年に二回、夏休みと冬休み前の教室日にお菓子がもらえる日がありました。 別にとりたてて「会」と名の付くことはしていませんでしたが、ほかに呼びようがあまり思いつかないので、とりあえず「お楽しみ会」と呼んでいました。 その日…

盆人漫録(12) 壮絶なるDIY

Do It Yourself. 「自分でやってみたまえ!」それが、DIYの精神であります。 そんなことを言うものだから、マジで盆栽園並の配管設備を庭に拵えてしまう愛好家が出てくるというもの。 徳江さんの棚場に参集した同好会の一同が目にしたのは、庭の隅から隅…

弟子達に与うる記(5) 酒は量より

諸君が私のもとを巣立っていくにあたって、学問のことと共にどうしても伝えておきたいことがある。でも高校生である諸君にそんなことを教えるわけにはいかないから、これは大学に入って目の前に「お酒」というものがちらつくようになってから読んでもらいた…

些事放談「とある標本調査」

池に三八一匹の鯉がいたとします。 時にヘンな伝染病が広まって、この池の鯉たちにも感染が広がったとします。 感染した鯉には不鮮明な斑が現れて、命には別状がないというのだけれど、それがなんとも見苦しいそうで、飼い主としては、さっさと感染した鯉を…

盆人漫録(11) 枯らすまじ奮闘記

あんなにフットワーク軽く、気の趣くまま自在に方々を駆け回っていた徳江さんが、市役所の大階段から落っこちて病院に担ぎ込まれたという報せを受けた一昨年の秋。 命には別状なしとのことではありましたが、足の骨を大々的に折って数ヶ月の入院を余儀なくさ…

教育雑記帳(22) ルーティーン覚書

ちょいとばかし前に「五郎丸ポーズ」というのが流行りましたが、覚えておいででしょうか? 私はラグビーファンでも何でもないから詳しいことは言えませんが、あれは五郎丸さんがボールを蹴り飛ばす際に自分の体幹を意識するためのルーティーンワークであるそ…

私と公文式(22) 魔のゴールデンタイム

学校から帰ってきて、茶の間のテーブルに陣取る。おやつを食べて、さて公文をはじめようかしらとなるのが、だいたい四時半かそこら。 平日の夕方四時~五時台と言えば、NHKの子供向け番組のゴールデンタイム。六つ年下の弟がおじいさんとおばあさんの相撲…

定点観測(33) ジャンポとジャンパ

ゼッタイわざとやっておるだろう、と採点しながら笑ってしまう。 「ジャンプ」と書くところが二つ宿題に出ていて、それぞれ「ジャンポ」「ジャンパ」だそうで、一度ならず二度までもの波状攻撃をされると、ついと採点机の上で吹いてしまう。これが年末ならば…

国語の時間「絶対と相対」

生徒のみなさん、「絶対」とは何でしょうか。「相対」とは何でしょうか。 ふむ「絶対とは他に対立するものが無い状態」で「相対とは他との関係の上で成立するもの」と仰るか。その通り、辞書的な意味としては申し分ありませんね。 でも、ぶっちゃけそれって…

作文の時間(12) 無段落ボーイのエチュード

作文教室を受講している子達の中で、毎年決まって現れるタイプに「無段落ボーイ&ガール」というのがあります。 もちろんわざとやっているわけではなくて、本人はいたって大真面目。お話の流れにのって、最後のオチまでたゆむことなく前進を続け、ふと振り向…

盆人漫録(10) 徳江さんを想う

まだ私が自分の軽トラを買う前、展示会の準備で徳江さんの軽トラを運転することになった時のことでした。 自動車学校を卒業して以来、一度もまわしたことがなかったマニュアル車。それを急に預けられて悪戦苦闘、ギッコンバッタンしながらも、何とかかんとか…

教室の選び方(4) ガンガンいこうぜ?

運筆から大学研究過程まで、実に幅広い領域をカバーするのがくもんの教材です。 幼児が方程式を解いたり、小学生が漢籍に親しんだりする光景もまた、くもんではお馴染みさま。 学年の上下に拘わらず、のびのびと教材を進めているうちに「気づいたら、こんな…

定点観測(32) 小さく書きたいお年頃

私の妻にもそんな時期があったそうだが、こういう仕事をしていると、やはり高学年くらいの女の子は一度そんな時期を通過するものなのか、と感じることがある。 もしかすると読者のみなさんはご経験があるだろうか。とにかく書く字を「小さくしたい!」と思っ…