かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

エッセイ

私と公文式(30) こんな所に公文式

「私たちが生きる世界の至る所に公文式がある。」なんて言い方をすると、公文の教室がコンビニみたいにいっぱい存在しているように思われてしまうかもしれません。 かつて、創始者である公文公(とおる)が「風呂屋の数ほど教室をつくれ!」と語った逸話はさて…

子宝日記(5) 文士、服を買う。

ボタンダウンのワイシャツ数枚と、スラックス二本とチョッキとカーディガンが一枚ずつあれば事足りるのが、私の普段の格好である。 何度も洗っているうちにワイシャツの襟や袖口がすり切れたり、スラックスの膝が白くなってくると、妻に「そろそろ捨てるべし…

盆栽百計「石楠花」

私のおばさんが庭の石からワイルドに引っぺがして、そのままビニールに入れて呉れたのが、このシャクナゲである。 「百計」とは言い条、初っ端から見事なまでの私の無策ぶりを露呈するようで、はなはだ気恥ずかしいのであるが、これはこれで「面白い」と思っ…

盆栽百計「序」

樹も塾生も、漫然と付き合ってばかりでは面白くない。 不思議な縁から私のところへやって来た彼らは、日々変化していく。これは文学作品であったり、プラモデルにはない厄介な点であると同時に、最大の面白みでもある。 生きているものを相手にしているから…

子宝日記(4) 耳を澄ませば

このごろ通う店のレパートリーが一つ増えた。 いつものスーパーに、ホームセンターと本屋とビデオ屋に加えて、『ベビー用品』をひさぐ店に出入りするようになった。 当然のことながら、これまでおよそ縁の無かった店であるが、あと数ヶ月もすれば「必需品」…

定点観測(45) 瞬間最大風速

教室始まって以来もっとも頻りな「お兄さん風」と「お姉さん風」が吹き荒れている。 今まで一人して座らされていたのが、今度の集会所教室では、デカい会議机に二人して座ることになったのが、おそらく事の発端なのだろう。 横をチラチラ、隣は何をする人な…

盆人漫録(23) そして誰もいなくなった

これは、ひょっとして、孔明のワナかしら。 はるばる同好会ご一行様が到着した「盆栽交換会」会場には、車の一台、人の影すら見当たらない。一応、ここは園芸店であるからして、庭石なり盆栽の数鉢こそあれ、肝心の店主の姿もありません。 鳴子の山を少なか…

盆人漫録(22) 空城の計?

かつて諸葛孔明は、空にした城の楼上に琴を弾き、詰めかけた敵軍をまんまと欺いたそうな。 盆栽愛好家なら知っている専門誌『近代盆栽』には、毎号必ず全国各地の展示会情報が掲載されています。これを頼りに、われわれ愛好家はまだ見ぬ樹と同好の士との出会…

軍隊学校之記(21) これは部活ですか?

今週のお題「わたし○○部でした」 私、「進学研究会」でした。通称「進研」。え? そんなこと聞いてない? いいでしょうが、私だって部活の話がしてみたいのです。 所属している生徒数は、進学コースに在籍する生徒数とイコールであり、主な活動は「主要五科…

定点観測(44) ちょっと、社長!

チラッと見たら、椅子にふんぞり返っているヤツがある。 なぜあいつは、あんなにふんぞりかえっているんだ。とガンを飛ばす手前もまた、椅子にふんぞり返って腕組みなんかしているのは、あいつの椅子にも私の椅子にも立派な「背もたれ」がついたためにほかな…

私と公文式(29) 引っ越し顛末録 後編

「集会所」と聞くと、万年ぼっちプレーヤーの私は、一人でクエストを受注して狩りに出発していく、哀しきゲーマーの姿をまず想起してしまいますが、話を本筋に戻しましょう。 「集会所」で公文の教室を開く。 寺子屋式の教育を標榜する公文にとって、地域に…

私と公文式(28) 引っ越し顛末録 前編

このほど、家内とはじめた「公文式ほなみ教室」を引っ越すことと相成りました。 売り家になっているところを、大家さんのご厚意で間借りしていたわけですから、いずれこの時が来るだろうことは、開設当初から分かっていました。 それでもいざ、買い手がつい…

蝸牛随筆(4) バッハを聴きながら

今週のお題「地元自慢」 誰も自慢してはおらぬのだけれど、いや誰も自慢しておらぬからこそ、私がそろぉっと、手を挙げて自慢せねばならぬことがある。ここは、バッハ推しの町なのだ。 わが郷里「加美町」(旧中新田町)は、宮城県北部。仙台から北に車を走ら…

弟子達に与うる記(17) やる気のメソッド

今週のお題「やる気が出ないときの◯◯」 「やる気スイッチ」を見つけてあげたり、押してあげるなんてコマーシャルを耳にしたことがありますが、そんなスイッチはこの世に存在するのでしょうか。 よし、百歩譲ってそんな重宝な(?)スイッチが「存在する」とし…

盆人漫録(21) 語り合い・秋

あんなにいつも、自分の戦車模型を錆びさせたり、わざわざ「古さ」を出そうなんてしているクセに、こんな時に限って舎利のウェザリングを失念するとは、私もまだまだ甘ちゃんであります。 そんなこんな、三日間の展示でお客さんは百数十人。終わりかけた日曜…

盆人漫録(20) 十人十白?

あはれ今年の秋も去ぬめり。秋の展示が無事に千秋楽をむかえると「ああ、今年も終わったなぁ。」という感慨が、つい口の端からこぼれてしまいます。 「いやいや、あなた、まだ二ヶ月あるから」と家内にツッコまれつつ、つらつら思うに、やっぱり今回の展示に…

蝸牛随筆(3) レジの職人芸

そのスーパーに買い物に行くと、必ず選ぶレジがある。 どんなに人が並んでいようと、前の客のカゴが溢れんばかりになっていようと、喜んでそこに並んでしまうレジがある。 そのレジを打っているのは、ササキさんという方で、その手際たるや単に「早い」とい…

秋の展示会 自作解題①

棚飾り(漫画のカット順に) 棚は山をイメージして飾る。麓に落葉樹の林が広がり、山巓には常盤木の緑が冴える。さて、床の間に拵えた小山に徳利でも提げて行こうよ。○黒松 半懸崖 安全ピンで曲付けされた苗(初心者ホイホイ)を「ムサシ」で買い求めて四年。当…

秋の展示会 自作解題➁

高足台 ○真柏(シンパク) 半懸崖・吹き流し風 黄色い鉢が似合う、ハイカラな奴。 最近ついに念願のシャリ(舎利)を入れたらしいのだけど、本人は「なんか白すぎんじゃね?」とブーブー文句を言っている。 「だって、急だったし・・・」「だったし?」「タミヤカラ…

弟子達に与うる記(16) ゆかしい方へ

興味がないものを研究の対象に選んだところで、そんなものが研究になるわけがないのです。自分が「ゆかしい」と思えるからこそ、研究が出来るのです。 世の中には「大学を出ること」だけが目的のような人間もいますが、それはどこまで行っても学問と主体的に…

弟子達に与うる記(15) 学問のカタログ

大学とは、一つの大きなカタログであります。 それは学問のみにあらず。そこには様々な考え方をもつ人間が入りみ混じれ、それぞれが何かしらの「ゆかしさ」を求めて奔走したり、彷徨ったりしています。 大学一年生になった諸君はまさにそんな、どこから手を…

蝸牛随筆(2) マスク美人

近頃だいぶ美人が多くなった。 どの女性も実に目元が美しく際立っている。あのマスクの下もかくやと、イメージを膨らしている自分がある。 そうなると、マスクは一つのキャンバスみたいなもので、そこに隠された鼻であったり口や頬を勝手次第に描き込むなど…

定点観測(42) 目指せ、重々しい男

『源氏』の「宇治十帖」の主人公である薫大将は、重苦しい感じの男として知られている。 しかし、ここにたいへん「軽々しい男」がある。 今日もヘンな間違いをしてからに、私から「お前さんねぇ・・・」と小言をいわれても、そこはオキマリの「ハイハーイ」であ…

子宝日記(2) つわりの話

男になむ生まれついた私は、女性が毎月のように苦しむ「生理」が如何に痛くてツラいものか、「つわり」が如何に苦しいものか、頭では理解しているつもりであるけれど、やはり正直なところよく分からない。いや、分かれないのである。 だったら無関心でいれば…

定点観測(41) 成長の記録

今年もまた一枚、立派な「盾」を授与された子の写真を教室に飾る。 今度のはよく撮れている、表情が好い! なんて比較対象が出来るのは、その子の写真のこれが一枚目ではないためである。 常連ともなると二枚、三枚は当たり前。教科毎に盾は来るし、トロフィ…

蝸牛随筆(1) 子供はお好き?

「こんな仕事してるんだから、さぞかし子供が好きなんでしょう?」という質問を受けることもしばしば。 ちょっと質問がざっくりし過ぎていて、どう返答してよいものか、私がうんうん首を傾げていると先方は既にして「やっぱりそうなのね。」という顔をしてい…

軍隊学校之記(18) 加奈陀旅行記Ⅱ

英語が通じない。 もちろん全然単語が出てこないというわけではありません。寧ろ単語なら通じるのに、私が必死こいて捻りだした構文が一向に通じないのです。 日々の暗誦で(無理矢理)培われた例文を、ジャンク屋のごとくあれこれ取っ替え引っ替え組み合わせ…

軍隊学校之記(17) 加奈陀旅行記Ⅰ

スチームに蒸されて暑いのか寒いのか判然としない寝室の分厚い窓には、厳かな冬の夜が来ている。時差ボケに悩みつつ輾転反側しているうちに、夜も大分更けたらしいけれど、隣の部屋からは、先ほど地元のパーティーから帰宅したらしいカナディアン・カップル…

盆・再考 鑑賞のすすめ

盆栽の鑑賞について、何かマニュアル的なものを語ってみようと思ったのですが、そんなケンイ的なものをしゃちこ張って云々申したところで、寧ろ胡散臭い感じがします。 確かに絵画の世界ですと、感性に従って観るのにはどうしても限界があって、時代的考察や…

弟子達に与うる記(14) 自分なりに

初めて一人暮らしてみて、それに段々慣れてくると何だって融通が利かせられるようになってくるものです。 掃除を割愛してみたり、カラオケで一晩歌ってみたり、洗濯物を干しっぱなしにして、そこから着ていくものを選びはじめるなんて無粋なマネも平気でやっ…