かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆・歳時記 其の三

実生

 イイ歳をしてガキの頃より熱心に、いや血眼になって公園のドングリを拾っている。まずは発芽するかどうか、そして如何な性分の樹が出てくるか、これもまた、かつて親しんだガチャガチャの感覚である。
 およそ盆栽が市場を通して我々の手許へ渡るとなると、若木でも二、三才になっている。実生の強みとは、これをゼロから始め得るという点なのだ。ゼロ才からの幼児教育。成果は後々じわじわと。樹でこれなのだ。況や人間をや。

施肥

 朝と昼の二食が樹にとっての日光と水だとすると、毎夜の晩酌とアリナミンサントリーDHAセサミンが肥料という感じである。こんな譬え話ばかりしているから、わが私塾の門下生たちはいつも、また始まったという顔でニヤニヤしている。
 春の寝起きと、夏の疲れが出てくる時期に、ちょいとばかし奮発して買ったサプリメントを与えてやる。そういえば私は年中自分に施肥ばかりしているが…。

定期消毒

「ウチな、こないだエエとこ見つけましてん。あすこのウチのだんさん、好きで集めてはんねんやろな。だぁーーってサツキの鉢、ようさん並んでましてな」「ほうほう」「さあて、どれからかじったろ、あれから食うたろか、もうよりどりみどりやで」「あんた、ほんでサツキみどりとか言わはんのやろ」「違わい、そんでな、もう何でもエエからいただきますー! いうて緑のやらかい葉っぱ、飛びつきましてん」「ほんでフラれた?」「アホか、したらな、えろう臭いねん。」「悪いもんついてたんとちゃうか?」「臭かってんけど頑張って食べましてん」「食うたんかい!」「したら、えらい具合悪うなってな」「ほら言わんこっちゃない。そんで医者行きましたんか?」「行かん。」「行かんで何してまんねん。」「君にお別れしにきてる。」「やめさしてもらうわ。」

Ⅾ・Ⅰ・Y

 多かれ少なかれ盆栽愛好家という人々は、何かしらの便利グッツを発明する。針金巻き器、塩ビ鉢、お茶パック肥料袋、etc。それぞれに「ああ、こんなのがあったらいいな」と思う瞬間がある。そしてこの頭の中の「こんなの」は応にしてお店で売っていない。故に自分で作った方が早いし安い。Do It Yourself .の精神である。
 愛好家同士がお宅訪問をすると、樹よりも先にその人のDIY精神に胸を打たれたり、触発されたり、とかく忙しいのである。

katatumurinoblog.hatenablog.com