かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

定点観測(4) 獺祭ボーイと私

 カワウソのお祭りと書いてダッサイと読む。非常に美味な酒の銘柄でもあるが、本来は物を書くときにあれこれとっ散らかすことを指す言葉である。
 今日も私の目の前で獺祭ボーイが黙々と高校数学を解いている。累積した国数英のプリントの真ん中にこぢんまりとおさまって、よくもまあそんな窮屈なところで勉強ができるもんだと思う。けれど実際のところ、私も人のことは言えないのだ。開きっぱなしで積み重ねた解答書と、採点済みのプリントの谷間で、大のオトナが一番の悪しき見本になっている。
 彼岸が近い夕陽は獺祭ボーイと私があくせくやっている教室の奥まで、真っ直ぐに射し込んでくる。彼は後光を背負うからまだよいが、私は顔面に直射をうけてとかく難渋する。私のクモンをよそに、子供たちの入りは怒涛のピークを迎え、解答書の山は雪崩れて谷を埋める。
 ようやっと生徒の入りも疎らになり、机上に積まれた互いの山が、夕映えの塩梅で安らかな吐息をはく頃、私の「さて、そろそろ片付けようや」の合図で、獺祭ボーイも机に埋まっていた頭を久しぶりにもたげて「そうですね。片付けるとしますか」。それからごもごもと片付けをしてから、懸案の「和泉式部日記」やらO.Henry を一緒に読んだり解いたりしているうちに夜の帳がおり始める。
 獺祭ボーイともかれこれ六年近い付き合いである。私はたまに彼が小学生であったことを思い出して、なんだか可笑しくなることがある。

katatumurinoblog.hatenablog.com

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