かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

軍隊学校之記(1) 序

 それなりな小金と、それなりなステータスを持っている人々が、ある日突然筆を執ってわざわざ自費出版する「自伝」だとか「わが成功の秘訣」なんてものに、たいてい面白いものはありません。ブックオフの投げ売りコーナーに二束三文で売られる背表紙を見るだけでも、だいたいおなか一杯になる。偉人の言葉をやたらと借りてきたり、業績やその関係者の名前を延々と羅列してみたり、だれが読むのかしらとも思うけれど、それがやりたくてやっているのだから仕方がない。それは、自分による自分のための回想記であって、「オレってスゲぇだろう?」の磁場を脱しない限り、とうてい読むに堪えるテクストは練りあがりません。
 さはれ、私がこれから語ろうと思うのは、ほかでもないわが高校生活、および大学受験の回想記……。いかにすれば、かの人々と同じ轍を踏むことなく、何をか語りうるだろうか。こんな私の不安など、現に進学の二文字を背負って遠き道を行くみなさんのそれに比べれば、きっと鼻毛にも満たないことなのでしょう。
 必要なのは思い出に流されない自制心と、当時の「私」を能う限り突き放して語ることに尽きます。その結果として、ひとつのモデルを提示できればこれ幸い、決して褒められたモデルではないけれど、飽くまでひとつの参考として、これからを生きる学生諸君、そして私の後輩たちの一助となればと願うばかりです。

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