かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

軍隊学校之記(2) 嗚呼、軍隊学校!

 私が出たのは宮城県は古川駅前の軍隊学校、いや失敬、古川商業じゃなくて私立古川学園の進学コースというところです。古川学園といえば女子バレーでご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、「進学コース」というのはまさに影の名物。この辺の人々には、ちょっとした畏怖の念を抱かれていると言っても過言ではありません。まあ、それもお勉強をしないことが当たり前な「この辺」の風土が影響しているのでしょうが、そんな中でもとび抜けてモーレツだったのが、かつての「進学コース」でありました。
 今では中学校が併設され、中高一貫校として新たなスタートを切りましたが、当時はまだ高校三年間で国公立大現役合格を目指す、とかくシャカリキなスタイルでした。なにせ普通の公立中学をさして勉強もせずに出てきた人や、偏差値50ちょいがトップレベルと言われるこの辺の公立高校受験に失敗した人を集めて、一からたたき上げるのですから、軍隊的な規律と不思議な慣習が生まれてくるのも自然な話で。
 詰襟の制服に、絶対合格と大書された鉢巻をして、朝から晩まで授業を受ける。レンアイ、ケータイなんぞもってのほか、月月火水木金金なんて感じで土曜日も一日学校であるし、どれかの小テストをトチれば放課後に小テストの追試があって、それでも駄目なら日曜日に呼び出される。頭髪は眉と襟足にかけず、ワックスはご法度。切らねばジャスコ裏の千円床屋に連行され、見つかれば水道で頭を洗われる。全くもって色んな意味で至れり尽くせりでした。
 もちろんこの学校には「進学コース」以外の科もあるのですが、言うなればそちらは別の学校で、空間的にも心理的にも全くと言ってよいほど隔絶されていました。向こうの校舎に生息している普通科とか、商業科の人々は腰から世紀末風のチェーンを垂らしたり、頭をツンツンさせたりしながら自由を謳歌していました。その上、ブカツだ、レンアイだと折に触れて青春の一ページを垣間見せて来るのに、こちらは何か違う時間というか時代を生きている感じが半端でない。高校に通っているというより予備校に、予備校というよりかは軍隊学校に通っていると形容した方がよっぽどしっくりくる。それが私の高校でした。

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