かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

塾生心得 罪なケアレス 後編

 テストであっても、それ以外の局面においても、見直しをする能力とは、実のところかなり高度な能力と言えます。自分の書いた答えをそのままなぞるのでは、見直しをしたことにはなりません。多くのケアレス民はこの点で、大きな誤謬を犯しているのです。ただ見るだけの見直しとは、自分の書いた答えの追認行為に過ぎず、ケアレスミスを引き起こした「これは、こうなんだ!」という先入観を払拭することもままなりません。
 大事なのは、飽くまで論理的に、自分がどのように問題を解釈し、いかなる手順でその解を導いたのか、第三者的な視点で自分の解答をまさにゼロからチェックする手続きなのです。そうして自分がとらわれている先入観を取り払う技術を身につけてはじめて、われわれはケアレスミスを根絶することが可能になるのだ、と私は考えます。
 よく何かのスローガンでは「自分を信じろ!」なんてことを言いますが、そんなのは視野狭窄も甚だしい。偏った物語にとらわれる自分しか見えていない点では、爆弾抱えて町へ出かけるテロリストだとか、やおら侵略戦争をはじめるどこかの国のアホの考え方と変わりません。それよりも寧ろ、自分を正しく疑う方がずっと難易度が高いのです。ですから私流にこれを言い換えると「自分を疑える自分を信じろ!」となるのでしょう。塾生のみなさんは、よろしくこれを肝に銘じて、正しく自分を疑い広い視野で多面的に物事を考えられる人間に成長してくれることを期待しています。