かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

軍隊学校之記(3) テスト・モシ・テスト

 もとより覚悟のうえ、元々うちのじいさまがコースの設立に携わったこともあり、幼い頃から「あんだは進学コースさ」と育てられてきたわけで、ほかの選択肢をあまり考えることもありませんでした。(なんてキョウイクだろうか!?)強いていえば、私立高校ゆえそれなりな学費が免除になる奨学生になれるか否かだけが、私の高校受験のすべてでした。
 夏頃から狂ったように受験勉強を開始し、無事目的は達成しました。これだけやったのだから、いざ進学コースへ入っても、そうそうビビるようなこともなかろう、そんな気で四月を迎えました。それでもいざ入学(隊?)してみると、毎日、毎時間が怒涛のような小テストの詰め合わせ、要するに暗記と知識定着のオン・パレード。もちろんトチれば放課後に居残る羽目になるから、休み時間はだいたい何かしら暗記している。もちろん他のクラスメートも同様で、うつむいて何か念仏のようなものを唱えているのもあれば、虚空を見つめてパクパク口を動かしているのもありました。自分もふと我に返って周りを見回すにつけ、そんな同輩の姿に「暗記パン」をやかんの水で流し込むのび太くんの姿がオーバーラップされたものでした。
 現在では中高一貫になったことで、だいぶ時間的にもゆとりが持てるようになったのは、わが後輩である私塾の門下生たちの姿からも窺えますが、やっぱりどうして小テストと週一のウィークリーと、単元テストに定期テストと毎月やってくる模試とのミルフィーユ状の生活を送っているようです。ハタから見れば、「何でそんなにやる必要があるのか知らん?」と思われるやもしれませんが、実際問題こうでもしないと間に合わないというのが「この辺」の実情にして私の実感です。
 「この辺」の公立中学をフツーに出てきた人間にとって、高校からいきなり国公立大を目指すというのが、随分ナンセンスな試みであることにようやく気が付いたのは、こういう仕事をするようになってからのことでした。残念ながらわが県の教育行政は部活動に血道をあげるあまり、学業に専念したい人々のための環境づくりを怠っているようです。だからこうでもして無理やり勉強せねばならない環境でもこしらえてやらない限り、高校からの大学受験なぞ竹やりで機関銃に立ち向かうようなものなのです。このことを分かっていない、いや、分かってくれない民間人がどうにも「この辺」には多すぎる、と軍隊学校OBは愚考するのであります。