かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

作文の時間(1) 作文はキライですか?

 生徒諸君、作文は好きですか? 私は昔、作文がキライでありました。それはなぜかと申しますと、ひとえにツマンナかったからに外なりません。
 では、どうしてツマンナイのでしょうか。それはたぶん、みなさんが原稿用紙をしかつめらしいテンプレ文型で埋めなくてはならぬ、と考えているためではないでしょうか。いや、違う! という方もあるかとは思いますが、少なくとも私はそうでした。あの不自由な枠に、自分の記憶の絞りかすであるとか、ナンか違うんだよなぁ感満載の感想をはめ込んでいく時間ほど、苦痛なものはありませんでした。

 『昨日私は学校の遠足で某動物園へ行きました。そこには普段見慣れない動物がたくさんいて、びっくりしました。そこでグループ行動をして、お昼には友人の某君と持っていったお弁当を食べました。おいしかったし、楽しかったです。』

 確かにテンプレの文型、表現というのは、あまり頭を使うこともないので書きやすいものであります。だからこそ学校では作文初心者のために、そうした見本のようなものを提示して、とりあえず学級の皆が定められた時間内に書き上げられるよう計らってやるのでしょう。
 しかしその反面、例示した作文から分かるように、型の通りに書いてしまっては、味も素っ気もないし、正直どうでもいいことばかりが書き連ねられている点で、お世辞にも読みたいとは思いません。第一、書いた本人だって、原稿用紙を埋めたが最後、二度とそんな作文を顧みることはないでしょう。言い方は悪いけれど、どうにも学校の作文には、やっつけ作業的な趣が強くなってしまっている感が否めません。
 ここにこそ「作文嫌い」を生み出す問題系の端緒がある気がしてなりません。作文を単なる作業にしないためには、先ず以てテンプレ文型からの脱却が果たされなくてはならないのです。では、如何にしてこの無味乾燥なくせに強大な磁場から、われわれは脱することができるのか、この連載を通してああでもない、こうでもないの試行錯誤をして参る所存であります。