かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

定点観測(21) DJとの夕べ Second session

 この間なぞは、また一つ驚かされた。やってきた彼の頭にデカい耳当てのようなものがついている。無意識に二度見してしまった私は、それが結構本格的なヘッドホンであることを発見して、いよいよどこからツッコんで良いのか分からない。

 ちびっ子たちが、ピーピーガヤガヤちょこまかしている中に、図抜けて大きいお兄さんが何かをシャカシャカ聴きながら突っ立っている。自分の座る席を探しているのだろうが、どう見ても異様な光景である。おかげで手許の仕事も手に付かず、下腹をくすぐるようなくつくつ笑いを堪えるのがやっとであった。

 しばらくしてちびっ子たちの一団も帰宅し、ようやく教室に落ち着きが戻ったころ、どれひとつ彼の学習の様子を見てやろうか、と顔をあげて彼の姿を探す。どの子も仕事中に笑いを堪えるオトナなんぞそっちのけで、自分の勉強に集中している。よきかなよきかな、オトナなんてものは子供にああだこうだ言うより、寧ろぼやぼやしていた方がよいのやも知れない、なんてどうでもいい感慨に浸っていたところ、一人だけ明らかにオカシイ。

 マジかよ? 「DJ」がひとりだけヘッドホンをして机にかじり付いているではないか。さすがに学習中は外すものだと思っていたのだが、あれを装着して机に向かったらいよいよ、ターンテーブルに向かっている風情ではないか。

 「ヘイ、DJ! そりゃあ、さすがに止そうぜ!」と言いかけて立ち上がると、思わぬものが視界に入って忽ち私のハートを鷲づかみにした。

 なんとヘッドホンのコードが英語用の機器に接続されていて、彼はそれで英語をたっぷりと聞いていたのである。ヘッドホンでEペンシルを聞いてはならぬ、という法はないのだ。適度にノイズを遮りつつ、流れて来る英文に集中するという点で、ヘッドホンは寧ろ理想的なツールなのではないかしら。かといって皆が皆、けっこうマジな感じのヘッドホンをして英語を謹聴していたらそれはそれでコワイけれど、DJとの夕べはいつも、素敵な「マジかよ?」を提供してくれるものであるらしい。

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