かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆・再考 樹を選ぶ目

 盆栽を始めたばかりの頃は、やたらめったら買い漁りました。

 どんな樹でも盆栽になるのだ、という逞しい信念のもと、まさに「樹形」を見ずに、「樹種」を見て買っていたものでした。

 まずは、王道の「松」と名のつくもの、次は「紅葉」、そしてやっぱり花も実もある「梅」だとか「サツキ」という沼を知り・・・。

 いい加減、棚が混み合ってきたら、今度は違うサイズ感のものに憧れが出て、ホームセンターの庭木コーナーをうろついてみたり、先輩からどんどん譲られるままに譲りうけているうちに、新たな棚を普請する羽目になるもの。

 この頃に買い漁った樹には、枯らしてしまったものも少なくありませんが、現在も棚場で元気に問題児ぶりを発揮しているヤツもちらほら。

 盆栽を勉強するということは、それを見る目を養うということなのだ、と今になって思います。

「幹が太いから!」と買ったボケの、とんでもなく単調な立ち上がりに、ある日愕然としたこともありました。ブラックジャックみたいな梅の接ぎ跡を、何とか前枝で隠そうとしたこともありました。

 そして何より、初めて買った五葉の葉っぱのくせっ毛が気になり出したあたりから、私の盆栽ライフは「買いたい期」から、「ちょっと物思う季節」へとさしかかったような気がします。

 うちの同好会の新しい会員の方が「いやぁ、まだ手持ちが少なくて、貰えるんなら何でも!」と仰るのを、今じゃニコニコしながら聞いている私ではありますが、その傍らでヤフオクの入札状況を、ちらりとチェックしたりしなかったり・・・やっぱり新しい樹種には、弱いものです(笑)。

 私の「見る目(芽)」もまだまだ育て方が足りないようです。選球眼ならぬ選樹眼をもっときっちり開眼せねばなりますまい。

 とはいえ、あの頃の心持ちを忘れてしまうというのも、何だかもったいない。だから初心のトキメキを忘れず、あの頃の樹もこれからの樹とも、とっくり対話しながら、将来のヴィジョンを見据えていこうと思います。