四年、六年と私のもとに通ってくれて、今日がその最後になる日だと言うのに、私は決まって上手い言葉をかけてやれません。
ホントは伝えたいことが、山ほどあるのだけれど。微積の問題を解説しながら、全く別の話をしたくて堪らなくなるのだけれど。いざという時になって、私は愛弟子の君たちへかけてやる言葉につかえてしまうのです。
普段、あんなにヘラヘラと駄文をものしているにも拘わらず、明日から新しい一歩を踏み出す君たちを前にすると、私はどうにも照れてしまって、「よっかったね」とか「よく、がんばった」とか、果てはあの頃はまだ幼くてとか、実に恥ずかしくなるような、月並みな陳腐さを露呈するばかりで、甚だ「不尽」としか言いようがないのです。
これも私の至らぬところ。どうかいつものように、またはじまった、と笑ってお許しあれ。
そしてこれもオトナのズルさ。だったらいざという時のために、予め「こいつを読んでくれろ」と出せるようなものをまとめておいてしまえばよいと思い立ち、それをすかさずブログのシリーズものとして仕立てるズルさ。
さはれ、公の目に問うて、「こいつはいただけない」という言葉を諸君に贈るわけにもいかないわけであり、私とあなたの間にしか伝わらない言葉というのは、およそ一般的な理解を得られるものでない以上、将来の思い人のためにとっておくものであります。
と、ひとしきりのエクスキューズを終えたところで、ぼちぼち諸君の未来のために語ることを始めてみようと思う次第です。