かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

定点観測(32) 英検から帰った男

 最早「借りてきた猫」とか言ってられなくなってしまった。

 かつて漢検の受付で、やおら「ばあば」の話をはじめたり、話しかけるオトナたちの首を傾げさせ続けた挙げ句「ちょっと何いってるかワカンナイ」と言われ続けた彼が、この間の英検を期に、突如として話の分かる男になって帰ってきたのである。

 一体何があったのか、今回は私たちが試験官ではなくて、隣町の先生にお任せしたので詳細は不明なのであるが、そこで彼が何らかの一本立ち的なきっかけを掴んだらしいのは、どうやら確からしいのである。

 英検が終わった次の教室日「コンニチワー!」と入ってきた彼が、何か言いたげな顔をしてこちらを見ている。普段ならば、要領を得ぬばかりで時間を食うから、あんまりこちらからは尋ねないのだが、こちらも英検がどんな感じだったのかやはり気になるから、それとなしに尋ねてみた。

 したところ、その話しぶりが何やら違うのである。最初私は、それが自分の予期していた回答の感じと違うので、少なからず混乱したのであるが、黙って聞いていると、驚くべきことに、何と話が分かるのである。

 どうしたことだろうか。いままであんなに何を言ってるか、論理錯雑、時系列滅茶苦茶だった彼の語りが、何やら今日は全て明快、簡潔にして実にすっきりとまとまっているのである。

 初めて行くところで、周りに何もない上に、約束の時間にママが来ないものだから、ホント焦ったよ。そこの教室の先生に、その旨を話したら、「もう来るんじゃない?」と言ったから、ふうん、そうかなぁ、と思っていたところにママが来たんだ。

 という話の内容であったと思うが、これほどのまとまった内容を的確に伝えられたのは、彼と出会って以来、まさに初めてのことであった。

 もちろん、最初から頭の回転はピカイチな子であった。あれも話したい、これも話したいで、とっかえひっかえ話し出して、結局最後が尻切れトンボになっていたところが、急に理路整然としだしたのはやっぱりアレのせいなのだろう。

 そう「可愛い子には旅をさせた」からなのだろうと思う、私と妻であった。

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