かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

私と公文式(25) エスカレートお楽しみ会

 クイズ大会から二年、三年が経過するうち、私も高校受験から例の「軍隊学校」生活に突入したものですから、自然と公文とも距離が出来ていきました。これがもしかすると今までの人生の中で、一番公文と疎遠だった日々かも知れません。

 ですからその頃は、母の教室でいかなるお楽しみ会をやっているかなんて、気にかける余裕もなかったわけで。それでも母が夏休みと冬休みの前になると、何やらごそごそ準備に追われているらしいのは視野の片隅でキャッチしていました。

 その全貌がようやく明らかになったのは、大学一年生の夏休みでありました。「日本夏休み大学」の異名を取る私の大学は、ほぼ全学部の三年生と四年生が一気に教育実習に行く都合から、とにかく夏休みが長かったのです。

 この長ぁい夏休みは、実家に帰って本を読んだり書き物をする以外に消化のしようがないものだから、とりあえず母の公文でバイトをします。すると、まずイの一番に「お楽しみ会」をするぞ、となる。いきなりのイレギュラーであります。

 いったい、いつの間にこんなに買い集めたのかしら、という大量の「商品」が入った段ボールを教室に運び込んで、そこに母主導の「店」を設えます。

 教室の一角にお客さんである子供の目をイヤが応にも惹きつける「ポイント交換ショップ」が姿を現すと、最早その日の子供達の意識は「こんにちは」と入ってきた瞬間からそちらへ釘付けになります。

 さてこの「ポイント交換」と申しますのは、日ごろやってきた宿題に応じて付与されるポイントと景品を交換するというもので、一教科一日分につき一ポイント。ですから教科数が多くて毎日三教科ずつバリバリこなしている子は、たいへんに景気がよいわけで。(各人のポイントの使い方については、たいへんに性格が出て面白いところがあるので、これはまたの機会に。)

 それでも、自分の溜めたポイントの多寡に拘わらず、子供達が目の色を変えてその日の教室分の課題をこなす様は、大学生という半分オトナになった私にも大いに理解できました。そちらに意識が飛びつつも、実によく集中しているものだから、にんじんをぶら下げられた子供というのはスゴイものです。

 消しゴムやシャープペンシルが主流だった当時に比べて、今では近隣に「ドンキホーテ」なる店も進出したことから、最近のお楽しみ会とあっては、お祭りのちょっとした露店ばりの「数当て」やらお菓子クジに、子供達がなかなか帰宅しないこともしばしば(笑)。

 さはれ母はそんな子供達の普段見せない顔を見て、自分が一番面白がってやっているわけですから、まぁこんなエスカレーションも悪くない、と気がつけば毎シーズンの仕入れを担当している私なのであります。
 
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