かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆人漫録(20) 十人十白?

 あはれ今年の秋も去ぬめり。秋の展示が無事に千秋楽をむかえると「ああ、今年も終わったなぁ。」という感慨が、つい口の端からこぼれてしまいます。

 「いやいや、あなた、まだ二ヶ月あるから」と家内にツッコまれつつ、つらつら思うに、やっぱり今回の展示における一番の苦労人は、綱田くんだったのではないかしら。

 秋晴れに恵まれたにも拘わらず、展示会場の前の通りは、激しく工事をしている。拡張をひかえた道路はすっかりアスファルトを剥がれて、規制線が張られた中にロードローラーが鎮座ましましている。

 道路から奥まった会場その名も「蔵」は、往来からいつも以上に遠ざけられてしまって、土日なのに人跡稀にして鹿でも鳴きそうな深山の気配を見せる始末。

 そんな「蔵」の中で、色づいた樹々を眺めながら店番をしていると、不思議に創作意欲が湧いてきて、持参した返照台に早速素材を据えて「一人盆栽ワークショップ」などを開催していた私なのでありました。

 今回の主だったお客さんの質問は、松以上に出展数の多かった真柏の「舎利」について。

 「あの白いのは、何ですか?」「あれは、何か塗ってるんですか?」「何で白くしてるんですか?」というご質問をたくさん頂戴しました。

 硫黄合剤の白もあれば、墨汁入りの白とか、ずいぶんツヤのある白もある。私のにいたっては、いつもプラモでお世話になっているタミヤカラーのフラットホワイトをチョイスした次第であるから、それこそ各人各「白」。

 ペンキ塗り立て感は否めませんでしたが、お客さんには一応趣旨を説明して納得してもらった次第です。私も急いで塗ったものだから「古さ」を意識した調色を欠いてしまったことが、少し悔やまれました。

 やはり異なる趣味であっても、積極的にその技法や考え方は、ワンチャン応用をきかしてゆくべきなのやもしれません。