かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

私と公文式(29) 引っ越し顛末録 後編

 「集会所」と聞くと、万年ぼっちプレーヤーの私は、一人でクエストを受注して狩りに出発していく、哀しきゲーマーの姿をまず想起してしまいますが、話を本筋に戻しましょう。

 「集会所」で公文の教室を開く。

 寺子屋式の教育を標榜する公文にとって、地域に根ざした場所で教室が開けるというのは、実に素敵なことであります。何なら前の教室よりずっと広いし、便所だって三つもあります。

 私がはじめて通った教室は、ぼっとん便所のトタン屋根だったのに、いやはや時代が進んだものです(笑)。

 しかし、この広い集会所、綺麗な床に足を踏み入れるなり無闇にスキップなどしたくなるのは、ひとえに机がないから。そうなのです「集会所公文」の最大のネックが、この机の出し入れと、教具の運び込みなのです。

 つい先日、記念すべき第一回目の教室を開いたわけですが、始まる前に私は既に汗だく。本部の局員が初回の様子を見に来たのですが、会議用机と格闘する私を尻目に「教室の写真を撮らせてくださいー」とか、「お花届きますけど、持って帰ってくださいねー」とか、ズレたアドバイスだけして、子供が来る前に帰るという始末。

 いったい何しに来たのかしらん。ぜったいアイツは公文生じゃねぇ、と確信した瞬間でありました。

 そんな心なき局員とはうって変わって、この集会所を管理されている方々が、たいへんに親切でハートウォーミングなおじさん達なのです。

 元々、地域の子供を寄せるためにつくった集会所だったのですが、昨今のコロナでなかなか思うようなイベントが出来ない折から、この辺の子供達を集めて行う「寺子屋教育」に快くゴーサインを出してくれたのでした。

 一番ありがたかったのは、物置の余っているスペースに教材棚を置かせてくれたことで、これがあるのとないのでは大違い。運び込む荷物もおかげさまで半分以下になりました。

 そんなおじさん達のご好意に応えるためにも、新たな「公文式ほなみ教室」の子供達を、自分でものを考えられる、心ある人間に育てねばなりますまい。そして私も公文でわしわし机を担いで、次の春にはもうちょっと筋力のパラメーターを伸ばそうと思います。継続は力なり。