教室始まって以来もっとも頻りな「お兄さん風」と「お姉さん風」が吹き荒れている。
今まで一人して座らされていたのが、今度の集会所教室では、デカい会議机に二人して座ることになったのが、おそらく事の発端なのだろう。
横をチラチラ、隣は何をする人なのかしらと眺めるのも随分やりやすくなった。というか、そんなにガン見していないで、とっとと自分の仕事をしてくれかし、と思うのであるが、「君、スゴイね!」なんて感心しているお兄さんもある。
自分より格上の教材を学習する年下に、一風変わった「お兄さん風」の吹かせ方である。そんでもって、止せばいいのに自分のプリントを見せびらかして、「ほら、オレの簡単!」などとプライドもへったくれも無いご様子。
ハテ、あちらの「お姉さん」は、体験にやってきた年少さんに何やら絡んでいる模様。
「公文やってるとねぇ、計算がとっってもはやくなるの。私もすっっごくはやくなったから、来るといいよ!」
商売が下手な私よりも、かなり上手に公文の良さをアピールしているけれど、ちょっとお姉さん、あなたの出したプリントの採点はとうの昔に終わっているし、というか「あなた、そんなに計算速くなったっけ?」という私の心の声が漏れぬようお口チャック推奨案件である。
ホントのお兄さんとお姉さんは、初めての子が来たって、それをモノともしない様子で自分の仕事に集中しているものであるが、心の内では、「おっ、新人だな!」という気分もないことはないだろう。いや、きっとあるに違いない。
「お兄さん風」と「お姉さん風」。これは本人なりのモチベーションアップ術なのだろう。先にその共同体に帰属しているという優越感が、好い方向に作用して「新人に負けてなるものか」という気概になってくれたら嬉しい。
風が強めに吹いている。なるほど、あすこでかつての新人が、どうやら同級の新人を見つけたようだ。