かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆人漫録(24) 冬のドナタ

 出会いと別れ、わが同好会にとってそんなテーマの一年が暮れようとしています。

 毎年発注している盆栽カレンダーを、同好会に出席できない会員の家にお届けするのは、けっこう大切な行事でもあります。身体の具合はどうか、盆栽も元気であるかを確認して、暮れの例会で「○○さんが、皆さんによろしくと」という感じで報告するのが恒例。

 私の担当は二軒。まずは公民館の移転にともなって、今年あえなく会を去った梅田さんのお宅に伺うことに。

 大量の土を買い付けた軽トラックを見送ったのが確か桜の頃でしたから、お会いするのも久々、近くを通る度、どうされていることかと気にかけながらも、このご時世ひょいと訪問するというのもなかなかどうして・・・。

 さはれ、今日はカレンダーという大義名分があるものだから、堂々と訪問が叶うという次第で。早速お宅のピンポンを押しますと、奥様が出てこられて、「アラ・・・」という顔をされる。

 これはもしや、ちょっとご無沙汰をしている間に梅田さんの身になにか良からぬことでもあったのではないかしら、と一抹の不安が過ります。

 すると奥様、私の肩越しにお庭を見回して「確か、さっきまでその辺にいたと思ったんだけど・・・もし、いなかったら、そこのガレージを抜けて・・・」と、後はちゃんと了解済み。ご本人もいたってお元気なことが知れて一安心。

 梅田さんの秘密基地であるガレージを抜けると、そこは広い法面沿いの棚場になっていて、その丁度中程にヤッケ姿の梅田さんが埋まるようにして冬越しの準備の真っ最中。全盛期の鉢数ではありませんが、優に二百鉢を越える落葉樹たちが、棚から降ろされたところでした。

 さて、突然声をかけてビックリさせてしまうのもよろしくありません。ほどよいところまで近づいて「ごぶさたしてました」と声をかける。ここで「ドナタ?」なんて言われたら、立つ瀬がないけれど、盆友の根っこの部分からの繋がりを侮るなかれ。

 すぐにニッコリ気がつかれて、挨拶もそこそこ、そこから流れるように盆栽談議へ移行してゆくスムーズさよ。今年も相当数、植え替えをされたようで、あの用土も着々と消費しておられる模様。

 帰り際に、取り寄せた「那須五葉」の種を発芽させた一年生の苗を見せてくれて、「春になったら、あんださも分げっから、そん時電話すっからな。」と嬉しい約束をしてもらいました。

 暖かくなったら、生まれ出てくる私の子供でも抱いて、同じくゼロ歳の苗をいただきに、また伺おうと思います。

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