かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

塾生心得 特効薬と漢方 前編

 身体に異変が起こった時、普通私たちはお医者さんに駆け込んで薬をもらいます。何なら「診てもらいに行く」と言うより先に「薬もらってくる!」なんて言って、そそくさと出かけていくものです。

 かくして私たちが頼りにしている薬、おもに西洋医学的な見地から処方される「薬」は、頭痛や発熱をはじめ、諸々の症状に対してピンポイントに効力を発揮し、みるみるうちに症状を緩和してくれます。

 しかし、これはあくまで「緩和」であって、症状が完全に身体から消え去ったこととイコールではないのです。薬によって一時的に症状を緩和しながら、身体が自己免疫機能によって回復してくるのを待つ、というのが私の理解する西洋医学的な方法論です。

 これは東洋医学的な考え方とは、まさに根っこの部分から異なるもので、その浸透度合いからしても「特効薬」と「漢方薬」とでは断然、前者の方に軍配が上がることでしょう。

 もしかするとお世話になったことがない、という人もあるかも知れない「漢方薬」は、症状に直接的に作用するという類いのものではありません。それは症状を抱える身体の機能を整えたり、血の巡りを好くしたりすることによって、寧ろ間接的に病気を克服、予防していくというのが「漢方」及び、東洋医学的な考え方なのです。

 「対処」からスタートする「特効薬」と、まさに「予防」に重きをおく「漢方薬」。病気に対するアクセスの仕方から、考え方からしてこれほどまでに性格が違うものをして、いずれが優れている、なんて判断するのは野暮というものでしょう。

 と、教育の話をしようと思ったのに、ついついマクラが長くなってしまいました。さはあれ、塾生のみなさんは、ここまでの話で私が述べたいことの概要をひとくさり語ってしまったことに気が付いたでしょうか。眼光紙背に徹しているであろう諸君は、その趣旨を四百字ほどに要約して来週提出するように。