かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

塾生心得 特効薬と漢方 後編

私の指導方針が「特効薬」タイプであるか、「漢方薬」タイプであるのか、塾生のみなさんであれば、もうお分かりのことでしょう。

 今現在、痛い所にすぐ効いてくれる薬が「特効薬」であるように、教育における「特効薬」とはテストで点を取らせることにだけ特化した指導のようなものでしょう。

 聞くところによれば、「○○中学の○○先生がつくった定期テストの過去問」なんて形で問題演習を行っている塾なんてものもあるそうですが、そんな小手先だけの付け焼き刃でアップさせた点数など、これから先の人生に何ひとつ影響を及ぼすものではありません。

 効き目が切れたら後は何も残らない。私はそれが厭でならないのです。その単元を学習する上で積み上げておくべき基礎そのものがグラグラの状態で、ただ機械的に答えの出し方だけを習得させる指導なぞ、はっきり言って時間のムダでしかないのです。

 その時は点が取れて、一時的に通信簿の評定が上がったとしても、間違いなくその付け焼き刃はボロリと剥がれて、次の定期テストのあたりには、きれいさっぱり忘れてしまっていることでしょう。

 「私の所へ来ても、すぐに点数は上がらないよ」と入塾の折にお伝えしているように、私が大事にしているのは、じわじわ効いてくる「漢方薬」ならぬ、基礎の定着とその繋がりなのです。

 基礎的な部分の理解を深め、それを自分の言葉で伝える、何ならそれを誰かに教えられるくらいに「こなれたもの」にしておくことこそが、別の単元との繋がりを担保し、なおかつ応用力を養うのだと私は考えます。

 ただ、こうした学習には、それなりの時間が必要であり、やっぱり中には「特効薬」を求めて旅立っていく人々も過去にはありました。去る者は追わず、私が育てたいのは点を取る力ではなくて、考える力なのです。

 日夜諸君が励む教科の学習とは、学問の入り口であると同時に、論理的思考力を鍛えるためのトレーニングであります。これを「受験のための勉強」と取り違えさせてしまうのが、現代日本のザンネンな風潮なのです。

 自分の頭で考える力を推進力として、よりよく学問し未来を切り開いていける人間になってほしい。それが私の願いであります。今すぐに点は取れなくても、それさえ出来れば点なんて後から腐るほどついてくるというもの。

 さて、本日も後から効いてくるじわじわ系の鍛錬をしようではありませんか。そう、私が愛用する、あの葛根湯のように。