普段は見せない一面を開陳する子供達が、ポイントを溜めたシール帳を握りしめて目を輝かせている。
お楽しみ会。いつからこんなにエスカレートしたのか分からないが、ただでさえ狭い教室に設えた交換所には、ポイント換算の値札が付いた大量の景品が並び、天井の梁からは駄菓子屋ばりの当て物が二つ三つと吊り下げられている。
宿題をこなした分だけ、彼らはお買い物を愉しむことが出来るのである。中にはポイントは欲しいけれど、あたう限り宿題はやりたくない、という極めて人間味あふれるヤツもあって、中抜けした宿題分、目減りしてしまった渇々のポイントを後生大事に握りしめて空拝む。
こんな時こそ、彼らの性格が剥き出しになるから面白い。堅実にポイントを交換する子もあれば、長っ尻、なけなしのシール帳を片手にうろちょろする子もあれば、潤沢なポイントでもってここぞとばかりに大物を手中におさめる財閥もある。
いい加減大きくなってくると、しゃぼん玉やスライムよりもシャープペンシルだとか、その芯だとか「まめまめしきもの」にシフトしてくるけれど、やはり副賞の駄菓子はにこにこして貰っていく。
さて、あいつは根っからのギャンブラーである。確実に手に入るものを放棄して、ポイントの全てを当て物につぎ込むのである。こっちが八百長していると思われても困るのだが、全て残念賞だった年もあれば、見事野球ボール大のスーパーボールをゲットした年もあった。
さぁ小さな勝負師よ、君がこの当て物の目玉商品を抜いちまうかどうかで、次回のお楽しみ会の景品も変わるというもの。一回二回、なんて様子見かは知らねぇが、そんなみみっちいこと言わねぇで、いざ尋常に、さぁさぁこの籤を引きねぇ。