年二回のお彼岸が近くなってくると、真っ直ぐさしこんだ夕陽が教室のずっと奥まで、くまなく照らしだすようになります。
とりあえずカーテンを閉めろという話ですが、リンゴみたいに染められた子供達の顔は、どれも真剣そのもの。夕陽何するものぞの塩梅で、自分の仕事に取り組む彼らを見ていると、こちらもまた身が引き締まるようです。
ふと目にとまった子の面影が「アレ? ○○君?」とオーバーラップするのは、やはりその子がお兄ちゃんやお姉ちゃんの、真摯に学習する姿を踏襲していることによるのやも知れません。
長いこと教室をしていると「あの世代」や「この世代」、「あの子達は賑やかで面白かった」とか「この子を中心に、大いに切磋琢磨していた子達だった」とか・・・しらずしらずのうちに、そこに地層のようなものが形成されているのを感じることがあります。
時々それが何かの機会にひょいと顔を出しては、「あの頃」や「この頃」の教室の手触りが、たいへんリアルに思い出されるのです。
「いついつが良かった」というわけではもちろんなくて、どの世代どの地層にもそれぞれの良さがありました。今教室でひたむきに学習と向き合っている彼らの姿もまた、いつかは教室の地層の一部として堆積されていくことでしょう。
穏やかな夕陽に照らされて、今も昔もたくさんの子供達がこの学び舎に集い、そして巣立っていきます。教室という場所が、子供達にとっての「よき思い出」であり「よき出発点」となればよい、と願ってやみません。