かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

塾生心得 「四月のお便り」


 ようやく見頃を迎えた梅の花の隣で、桜のつぼみにも薄いピンクがさしてきたようです。寒い季節を耐え忍んで、どこからそんな色を出してくるのか、毎年のように不思議な気持ちにさせられます。

 進級、進学の季節。新しい学校にドキドキしながら登校する緊張もさることながら、新しい学年のフロアに足を踏み入れることも、新しくなったノートに最初の一文字を書き入れることもまた、心地よい緊張を連れてくるものです。

 「緊張」という言葉は「アガってしまってガチガチ」というように、どうしてもネガティブな印象を想起させるものですが、今のみなさんのように新しい世界に足を踏み入れる際の「緊張」は、決してマイナスな面ばかりではないのです。

 それは未知の世界に対する尽きせぬ興味であり、それは新しいことに敏感に反応するために欠かせないレーダーでもあるのです。新しい環境に慣れるまで、どうしても疲れてしまうのは仕方のないことではありますが、その「疲れ」こそみなさんが新しい世界に対して、きちんとリアクションを取れていることの表れなのではないでしょうか。

 今までとはひと味違う刺激を受けて、さてみなさんはどんな風に自分の持ち味を発揮していくことでしょうか。やはりそんな時にものを言うのは日頃の積み重ねであり、そうして先立つものがなければ、持ち味も何もあったものではないのです。

 冬を耐えた桜の樹が、誰にもマネできない色で人々を魅了するように、生徒のみなさんもまた、寒い季節にせっせと蓄えた力をこの春に発揮してほしいと思います。