かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

育児漫遊録(6) これは正解なの? Ⅱ


 正解が分からない。

 これが正しいチャイルドシートの使い方なのであろうか。明らかにこれは「嵌めただけ」である。おくるみをようやくのことで引っぺがした我が子の本体を嵌めてみたのだけれど、これでは固定もへったくれもないではないか。

 どこに足があるのかも、どこから手を出しているのかも分からないくちゃくちゃした物体をどうやって固定すればよいものか。頃は未だ二月の末なれど、車内に身を折り曲げつつ思案に暮れているうちに額からは汗が滲み出す始末である。

 ここで抜かりがないように、昨晩のうちに頭の中でシュミレーションも行ったし、今朝も出発前に入念な操作確認までやった挙げ句、数分の遅刻すら喫したクセに、土壇場の爆弾処理班みたいにチャイルドシート上の我が子をおっかなびっくり触っている始末である。

 どれほどこの隠れている手を引いてよいものか。もし引っ張ったがさいご、肩からすっぽり脱臼なんぞしたらこの子の将来に障るやもしれぬし、無理に足を露出させて早速風邪でも引かれたら一大事である。無理は禁物。兎に角チャイルドシートに最低限の固定を行って、片道数分の帰途に就ければ御の字なのだ。

 幸いにして奴さんはこんこん眠っている。グリーンのベビー服と揃いのグリーンの帽など被って、昼夜も分かたぬ感じで眠っている。チャイルドシートは正真正銘の新生児用であるが、頭の位置が規定の位置よりも大分低いところにあり、そのせいで全体的に身体がずり下がっている。

 ホントの意味で掴み所の分からない我が子の身体を掴み、そおっと上部にずらしていくと、やたらぐにぐにと身体をしならせて、「オレは眠いのだ」と訴えるかのようである。普段はこんなワガママを子供らに許さぬ人間も、そんな新生児の訴えにはカタナシで「おお、おお、すまん、すまん。」と狼狽すること甚だしい。