かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆人漫録(30) ブレンダーの集い


 「私はあと、富士砂かなぁ。」

 「ほぉ、自分は何となく矢作砂ってやつを入れてます。」「ボクは赤玉と桐生だけだなぁ。」「日向って人もいるね。」

 各人配合の割合はそれぞれ。基本の赤玉土と桐生砂の割合が「5:5」「6:4」と分かれるのは、棚場ごとの生育環境によるところがあるのでしょう。この基本比率にさらに一手間が加わってくると、話がいよいよ盆栽マニアックの領域へと下降してくるようです。

 「あのぅ、サツキって何の土ですか?」との新人会員さんからの質問があれば、先生はいくらでもあるというわけで。「そりゃあ、鹿沼だね!」「サイズは何号くらい?」「若木なのかな?」「肥料を効かせたければ粒は・・・」ってな感じで、セカンド、サード・・・フィフスオピニオンまで飛び出す丁重さであります。

 そうなのです。ここに居並ぶ愛好家諸氏は土のブレンダー。コーヒーの違いを愉しむが如く、土のブレンドすらも満喫してしまう人々なのです。比率はさらに細かくなり「松なら5:3:1:1」とか「真柏はやっぱりアルカリだから軽石を2割くらいいっとくかな?」なんて、これではまるで産地毎に焙煎を変えるような塩梅。

 それがどれだけ自分の鉢に成果として表れているものであるのか、果たして数値にも何にも出ないし「そうでなかった場合」との比較のしようもないけれど、何となくそれが自分の盆樹たちによさそうだ、となると愛好家は自ずから土ブレンダーの道を歩み始めるようです。
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