かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆人漫録(31) ゴロ土とは何か。


 愛好家が二人居れば互いの棚の近況について話がはじまる。愛好家が三人居れば、もそっと込み入った話がはじまる。「ところで、ゴロ土って皆さんどうしてます?」と何気ない問いがわが盆栽同好会の「土トーク」の最中に転がりでました。

 「ゴロ土」と言ったらゴロ土。鉢の底に敷く比較的粒子の大きな土や砂の謂いであり、これがあることによってキャピタル某という効果が発動し、半端なかかりかたをした水でも浸透するにつれて効率よく鉢内に回るとのこと。

 しかしながらこの「ゴロ土」、各人がよく存じておるにも拘わらず、その背後におそろしく解決し難い問題を孕んでいたのです。

 果たして何を以て「ゴロ土」と言うか。小品盆栽を主としている私は、とりあえず自分が取り扱う鉢や樹の大きさでは使用できない粒の大きな土を「ゴロ土」として使っていたわけですが、自分より大きな樹を育てている会員の方にとっては、おそらく自分が「ゴロ土」と言っている土も、サイズ的に立派な用土となっているわけで、だったらその人はどんな「ゴロ土」を見繕ってくると言うのだろうか・・・。謎は深まるばかり。

 それなりに良い土を買えば、粒は揃っているし概ね河原の石みたいのも入っていません。それをさらに数種類のふるいにかけて大中小と分類し、残った微塵もまた使いようによっては挿し木なんかに適していたりもします。

 すると結局のところ、そうして余すところなく土を使う人にとっては「ゴロ土」をわざわざ調達せねばならない状況になるわけで、かつては「ゴロ土=ついでに手に入れるもの」であったものが「わざわざ調達せねばならぬ代物」と化してしまう逆転がここに出来してしまうのです。

 ゴロ土とは何か。「各人が使用する用土の粒子に比して、とりあえず粒子の大きめな土」定義としてはそんなところでどうでしょう?