かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

教育雑記帳(56) 親のマネジメント力 Ⅲ

 教室にやってくる度、毎回のように暴れたりぐずったりしながらという子供も一定数あります。

 もしかすると、そんな親達は「連れてくればよい」という認識のもと、子供の「動機づけ」についても思いを致すことがないのやも知れません。下の下はやはり「物で釣る」パターンであり、そんな浅はかな試みが子供の自立に寄与するものでないのは明白であります。

 つまるところ親がマネジメントを怠ってしまうと、いつまで経っても学習効率は上がらないし、継続的な学習とその成果を測るための観測点を定めることすらままならないのです。

 それがために「以前に比べてここが良くなった」とか、「昨日は出来なかったけれど、今日は上手くいった」というささやかではあるけれど意味ある前進を認めてやることが出来ない。調子の乱高下によって親諸共に振り回されるうちに、行き当たりばったりで学習習慣もへったくれもない「野生児」が誕生してしまうわけです。

 蓋し、「親のマネジメント力」とは常に一定のテンポを刻み続けるメトロノームのように、付かず離れず子供の傍らにありながら、彼らが思わずそう行動したくなるようなリズムを与えてやる力なのではないでしょうか。それは子供の調子によって左右されない確固たるリズムであればこそ、彼らの素敵な拠り所として機能するのです。

 所詮、物で釣ったり「連れてくるだけ連れてくる」ような親たちは、まだまだ子供によって踊らされているのであって、およそ子供に何かを与えうる立場にはないのです。

 学びを続ける子供たちの陰に、名マネージャーあり。潔く子供を送り出す彼らには「ちゃんと子供がやってくれる」という自信があるのです。それは過度な期待でもなければ、馬鹿げた盲信でもない、リアルな教育実践に裏打ちされた根拠ある自信に他ならないのです。