かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

塾生心得 「五月のおたより」


 風薫る季節がやってきました。まだ手垢の付いていないノートと、角が丸まっていない教科書をおニューのカバンに詰め込んで、そこはかとない緊張感と一緒に通学した四月も過ぎ、ちょっとは「好い塩梅」に落ち着けるゆとりも出来てくるのが、五月という季節ではないでしょうか。

 さて、塾生の皆さんはこのゴールデンウィークをいかに過ごされることでしょう。長いことご無沙汰していたイベントもぼちぼち開催されて、愉しいことには事欠かないようですね。やはり地元のお祭りというのは、そこで生まれ育ったせいか「ああ、この音を聞くと、この季節が来たんだな」という実感も一入です。

 皆さんにはぜひともそんな、この季節ならではのことを満喫して、頭と心をリフレッシュしてもらいたいと思いますが、ゆめゆめ中途半端な満喫の仕方ではいけません。

 スマホ片手に「映える」写真を取ることにばかり心血を注ぐのではなくて、自分の五感をフルに活用して目の前の面白そうなものに向き合うことが大事なのです。場の雰囲気や光景、手触り、味や匂い、そしてそこから受けた印象を、スマホのメモリではなく自分の頭に焼き付けたり、文字に残してみたりすることで、その思い出は頭と心の貴重な栄養となるのです。

 それはきっと「五月病」なるものに対する最善の特効薬であり、新しい環境に柔軟に順応していくためのゆとりを生み出すものでもあるはずです。とりあえずじっくりと腰を据えられる「好い塩梅」を模索しながら、生徒のみなさんにはメリハリのあるホリデーと日常(ハレとケ)をダイナミックに往還してほしいところです。