かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

盆栽と暮らす(3) 水をやる日々 Ⅱ

●「オレの樹に水をやってくれ!」の注意点。

 盆栽の水やりにおいて、こればっかりはなかなか自由の利かないものがあります。

 それが「旅行」「長期出張」をはじめとする、二三日のあいだ家を空けねばならぬシーン。これは盆栽と暮らしていていちばんの泣き所といっても過言ではありません。コロナの禁もぼちぼち解かれ始めた昨今、自分の周りでもちらほら「どこそこへちょっと遠出を」と心づくしの土産を頂戴する人が多くなったけれど、さて私もいざ、となると旅行の算段以上に厳密な算段がはじまるのもまた盆栽あるある。



 対策としてまず最も簡便であるのが、人に頼むというやり方であります。困った時はやっぱり誰かに頼るというのが、やはり人間として望ましい姿のように思われるわけですが、ここで一つ注意せねばならないことがあります。

 家族なりお隣さんなり、およそお頼み申し上げる人は盆栽愛好家とは限りません。ですからそこは「乾いたらやってくれ」の愛好家的な常識が通用しないことを前提に、「朝晩にじゃぶじゃぶお願い致す」と頼み込んでおく必要があるのです。

 これをあんまり事細かにくどくど注文を付けていると「ふざけんなし、だったらお前がやれし」と怒られること請け合いなわけで、そこのところは十分に配慮して単純明快に水やりの刻限と量をお知らせするにしくはありません。

 されど、最も安全であるのは「盆栽仲間に頼む」という方法でありましょう。私も何度か頼まれて実際に数日間水やりに馳せ参じたこともありますが、その際にはちゃんとご近所さんに「盆栽仲間が水やりに来る」旨をアナウンスしておいてもらわないことには、このご時世柄たいへん肩身の狭い思いをせねばならぬので、その点は特に留意する必要があると思われます。