●植え替え
樹のアンチエイジングに欠かせないのが、この植え替えである。
根の状態は、その樹の現状を映し出す鏡と言っても過言ではない。だから痛んで悪くなった部分を取り去り、幅を利かせてわだかまっている太根を追い詰める。若くて肌理細かな根の充実した状態が盆樹の健康にとって最良なのである。
常に新しい刺激を求めて活動する人が素敵に元気なのは、これと同じ理屈なのだろう。私はそれを「環境的植え替え」と呼んでいる。
●針金掛け
無性に針金を掛けたくなることがある。盆栽にではなくて人間の子供に、である。
「針金」と「教育」は実に似ている。若木と子供をよりよい方向に導くこともあれば、締め上げすぎて本来の良さを殺してしまうこともある。
ターニングポイントにばっちり針金を利かせたら、後はすみやかに外して「遊ばせ」てやる。樹も人も、そうでなければやってられないのだ。
●消毒
キャップに薬剤をアバウトに注いで「おっとっと」では、明くる朝に棚場に出た時の第一声が「おっと」なんてもんじゃなくなる。ちゃんと計量して、ちゃんと防備して、葉裏にもちゃあんと満遍なく。そしてご利用は定期的に。
一方、虫もなかなかやるもんで、一度食った手は食うまいと耐性をつけて対抗するものだから逞しい。愛好家と虫とカビのイタチごっこは今日もどこかの棚場で続いている。