●愛好家のタイプ分類 ②育て屋
実生のケヤキが二百鉢。これはわが同好会において破られていない大記録である。
種からじっくり、時間と愛情をかけて育てていく喜びもあれば、挿し木をしたり数百円で手に入れた素材を丹精込めてつくっていく喜びもある。
タダ同然だったものから、人々が欲しがるような樹がつくれたら、それは一人前の育て屋と言うべきであろう。
●愛好家のタイプ分類 ③王道をゆく
人間と盆栽、何事もなければ後者のほうがはるかに長生きである。実生で育てても三桁を超える齢まで付き合うことなど到底叶わない。
では、人が追いつくことの出来ない時間をどうやって手中に収めるか。答えは簡単「勇気を出して買う」または、譲り受けるのである。
世代を、そして時代を超えて来た名樹と豊かな時を重ね、それをまた次の世代へと継承して行く営みは、樹と付き合う人間ならではの営みと呼べるだろう。
●愛好家のタイプ分類 ④作り屋
改作に次ぐ改作と、マイナーチェンジの連打によって日々理想の形を追い求めるのが「作り屋」の本懐である。お店で盆栽を手に取った時、彼の目に映っているのはまるで違ったビジョンなのだ。
「この枝とこの枝を抜いて、幹はここまで畳み込んで、枝を針金で引っ張って、このてっぺんは枯らしてジンにして・・・」
創作意欲の塊が樹を眺める時、その魂はすでにして枝を鷲づかみにしているのだ。