かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

教育雑記帳(55) 親のマネジメント力 Ⅱ


 子供が独力で「勉強モード」であったり「教室に行くモード」に切り替わるれるか、と言ったら決してそうではありません。流石にものが分かってきた年頃の子たちであれば、こなすべきタスクに応じて自分でさっさと切り替えを行うわけで、日々異なる習い事を三つも四つも抱えている現代っ子にあっては、まことに鮮やかなものであります。

 問題はそれ以前の段階にある子が、如何にして切り替えを行うのかというところにあります。そしてここでものをいうのが親のマネジメント力であり「上手く子供をその気にさせる」技術であり努力なのです。

 この能力に長けた親御さんは、実に巧みに子供の情緒的なコンディションを整えます。にこにこしながら手を繫いで教室にやってくる親子の姿はいつもながらに微笑ましくもあり、いざ学習がはじまっても集中が途切れるということがありません。

 こうして繰り返される学習が、子供にとっての成功体験の積み重ねとなり「教室=勉強する場所、集中する場所」という認識が強化されていくのでしょう。そうなれば最早親の手を離れても子供は独力で切り替えを勝手に行うようになるのです。これが学習における「親のマネジメント」成功例であります。

 しかしながら、その反対のケースもしばしば見受けられます。来室したはよいものの、親にべったりくっついて離れようとしない、その場で地団駄を踏んだり、ともすれば戸外へ遁走しようとする場合もあります。他の子供達が机に向かっている中で、そうした一景はこの上なく悪目立ちしますし、それこそ「反面教師」の役割を果たすと言っても過言ではありません。