かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

些事放談「いらない屈折」

「先生、ボクきのうね、みんなでバーベキューしたよ!」「おととい家族とプールに行った!」 問わず語りに話してくれる子供達の報告を聞く度、複雑な思いにかられている自分があります。 「そいつはよかったな! で、何を食べた?」とか「いいなぁ、プールで…

弟子達に与うる記(4) 学問を血肉化せよ

本で読みかじって知った気になっているだけ。それを自分の言葉に落とし込むことも出来なければ、そこから自分の考えを新たに出発させることもできない。それは血が通っていない「借り物」の思想であります。 そんな「人のフンドシで相撲を取る」人物のタチの…

弟子達に与うる記(3) 人のフンドシで

この間の読書の話で、ちょうど「消化」についてふれたので、忘れないうちに補足をしておくことにします。 本、あるいは大学の授業で皆さんは「理論」や「思想」というものを学び、必要に応じてそれを吸収することでしょう。 精神分析、民俗学、テクスト論、…

盆人漫録(9) アリの図書館戦争 下

今よりもまだ頭数に余裕があった当時、展示会の当直は二人一組。 これが一人だと結構ツラいもので、このご時世だと検温と連絡先の記入をしながら、「この樹って、何ていうの?」とか、お客さんの質問にも応えなければいけません。 いつものこぢんまりした展…

盆人漫録(8) アリの図書館戦争 上

さつきの咲き誇る季節。朝霧に包まれた図書館の駐車場に、会長さんの車がそろりと入ってくる。 まだ作戦開始時刻まで四時間もあるけれど、段取りを重んじる会長さんの作戦行動は既に始まっていて、車から降り立った会長さんは、颯爽と歩いてお家に帰る。 会…

教育雑記帳(20) 言葉ドロボーを捕まえろ 後篇

言葉とは、自ら必要に駆られて使うようにならなくては、自由闊達に使いこなすことが出来ません。そして、この言葉がままならなくては、頭の中で自分でものを考えることも難しくなります。 ですから、「よく喋る親」の子供は、親によってよく喋ってもらってい…

教育雑記帳(19) 言葉ドロボーを捕まえろ 前篇

まず申し上げなければならないのは「子供は親とは別個の人格である」ということであります。 子供が自分の分身であり、それが自分の成しえなかった事を代わりにやってくれる、という幻想を捨てきれぬ親ほどタチの悪いものはありません。 子供にとってはイイ…

盆人漫録(7) あの男を呼べ!

その鉢は、ある男の手によって完成間もない大崎市図書館に持ち込まれたのでありました。 山採りの、まさに山味あふれる赤松。その持ち主は久し振りに登場した沼倉さん。イベント大好き人間である沼倉さんが、わが同好会にやってくるのは例の山形旅行とか、そ…

軍隊学校之記(13) 再び収容所にて

こう暑くなってくると、どこかの山へでも逃げたくなります。でも岩手山だけは、カンベン願いたく。 と申しますのも、夏と言えば進学コース恒例の「勉強合宿in岩手山」の季節であり、あれから十数年あまりが経過しているというのに、いまなお私は「なんてこっ…

作文の時間(10) 比喩でつかまえて

前回申したように「比喩」とは、ある対象を表現する際に、余所からイメージを引っ張ってくる手法です。 それはあたかも化学変化のように、普段同居したことのない言葉と言葉が出会って、予想外の効果を生むことだってあるのです。一流の詩人は一流のスナイパ…

作文の時間(9) 比喩ってなぁに?

「かぼちゃに手裏剣を打ったような」出で立ちのお武家さま、「忍術使うような」目をして化粧をはじめる女将さん。 落語はまさに比喩の宝庫です。どこから何が飛び出すか分からない、そんな、アッと驚く言葉に魅了されたり、腹を抱えて笑ったり。どこかの誰か…

盆人漫録(6) 会長、同好会やめるってよ

気がつけば、私が入った頃とはおよそ顔ぶれが変わってしまいました。 そのせいで、ヒラ会員として気楽に過ごしていた私も、いつの間にか「理事」とか「監査」とか物騒な肩書きが付くようになりましたが、これも名簿というエスカレーターの為せるわざ。会員歴…

軍隊学校之記(12) 四月のゴミ箱

新年度がはじまった教室は、二三人の顔ぶれが変わったばかりで、およそこれといった新鮮味がありません。 しかし、教室のゴミ箱はいつになく満杯であふれかえっている。入ってきた担任が、それを見て愕然とする。 「なんで教科書捨てたの?」と尋ねるから、…

弟子達に与うる記(2) ポケットに本を

別に読む気がなくても、授業がフルコマで忙しい日でも、ポケットに無理矢理ねじ込めとは言いませんから、カバンの片隅に一冊の本を忍ばせておいてほしいものです。 とにかく学生時代というものは、読書を通して自分の考えや思考力を磨くことが肝要です。本を…

塾生心得 リセットしてよいのは 後編

さて、間違いというものが決して無意味ではない、と知っている皆さんは、よほどのことがない限り自分の計算式を含めた解答を「リセット」しにかかるということはないでしょう。 「なぜ間違えたのか?」「どこでやらかしてしまっているのか?」という問いを立…

些事放談 「それはそれ」

一個の人命が暴力的に奪われたことに対しては、同じ人間として心から哀悼の意を表さねばなりません。 しかし、そのことによって、被害に遭った人間がしてきたことが全てチャラになるわけではありません。ここの所をしっかり分けて考えられるか、そうでないか…

盆人漫録(5) 梅田さんの宝船

鍋越峠を越えてくる「例のブツ」を、遅い桜の咲く公民館の駐車場に待っていると、そこへ見慣れぬ軽トラが入ってくる。誰のだろう? と見ていると、梅田さんが不敵な笑みを浮かべて降りてきたではありませんか。 こうなるとマジで業者感が半端ない。今日とい…

弟子達に与うる記(1) 序

四年、六年と私のもとに通ってくれて、今日がその最後になる日だと言うのに、私は決まって上手い言葉をかけてやれません。 ホントは伝えたいことが、山ほどあるのだけれど。微積の問題を解説しながら、全く別の話をしたくて堪らなくなるのだけれど。いざとい…

盆人漫録(4) ダイナミック通販

我らの強い味方、「盆栽のたけだ」へ行けなくなる日が来ようとは、いやはや夢にも思いませんでした。 コロナが我々の大事な補給線をいとも簡単に寸断したおかげで、同好会の誰もかれもが深刻な植え替え危機に陥ったのです。 最初の一年は何とかストックして…

軍隊学校之記(11) さらば、友よ

喩うるならばお相撲の番付。わが軍隊学校は、まさに番付社会でありました。 成績によって、上中下と三つにクラスが分かれていて、クラスのレベルによって授業の内容も全く違いました。 また、それぞれ抱えている小テストや課題も異なるため、休み時間に別な…

盆人漫録(3) 土買う人々

山形へ行くなら、ぜひとも「盆栽のたけだ」さんへお寄り遊ばせ。 私の父方のおばあさんがそうだったけれど、山形人は優しくて親切、そんな言い伝えが、やっぱりマジなのだと納得できるのが、この「たけだ」のおじさんとおばさんなのです。 あの沼倉さんがハ…

塾生心得 如何にゲームを攻略するか 後編

国語、算数、理科、社会、そして英語。どの教科にしたって、そこには特有の法則があり、独特な言葉の使い回しが存在します。 これらの勉強がよく出来る、と言われる人々はそうした法則を理解し、まさにそのルールの中で適切に記号を操ることで、素敵な得点を…