かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

蝸牛随筆(14) チャイルドシート綺譚Ⅳ

「これはエッグ・クッションというやつですね」「まぁ、ご存知なんですね!」 店員の説明を拝聴しつつ、覚え立ての横文字を言ってみたところ、思いがけなく誉められた照れ隠しに「ええ、まぁ」なんて間の抜けた返事をしながら頭を掻いている。 それもそのは…

教育雑記帳(46) 助け船はドロ船? 後編

一から十までつぶさに指示を出して課題なり何なりを達成させるということは、達成に至る別のプロセスや解法から目を背けさせることでもあるのです。そうなってくると「教えられる以外のこと」に対して可能な限り鈍感であることこそが、寧ろ「優等生」の条件…

教育雑記帳(45) 助け船はドロ船? 前編

学校の先生ごっこと称して、子供が教員と生徒役をかわりばんこに演じているのを見たことがあります。 そこでは決まって教員役の子供が「○○ちゃん、ちゃんとしなさい!」と檄を飛ばしていたり、「ここは、こう! 次にこうやって、こうしなさい!」と、普段言…

蝸牛随筆(13) チャイルドシート綺譚Ⅲ

自分が欲しいものを人に贈る。 これは私が信条とするところのものである。まぁ、それが明らかな独りよがりにならない範囲であれば、たいがいは喜んでもらえるはずである、と自負している。 チャイルドシートを選定するにあたって、私がとるべき第三の道は、…

蝸牛随筆(12) チャイルドシート綺譚Ⅱ

なるほど、ありとあらゆる機能をとりあえず満載させて、某のマークが付いていて、金額的にもそれなりのものを購入すれば、きっとこの一家のように素敵な幸せが訪れるであろう、というメッセージがビンビン伝わってくる。 だが、それってどうなのだろうか。こ…

蝸牛随筆(11) チャイルドシート綺譚Ⅰ

希有なことが起こった。 チャイルドシートの型録をぺらぺらめくっていたところ、見慣れぬマークが付いている。何かのブランドというわけでもなく、最新式と紹介がなされたチャイルドシートには、ことごとくこの「ISO・・・」某に対応と表記がなされている。 …

盆栽教育論(8) 実生苗と幼児教育Ⅲ

○初動の失敗に学ぶ 自分の盆栽棚を眺めている時、いつまでもうだつの上がらない子供をみている時、私はいつも「ああ、初動が失敗しているなぁ。」という感慨を新たにしています。 盆栽における初動とは、他ならぬ「立ち上がり」というお話しは前回までのとこ…

盆栽教育論(7) 実生苗と幼児教育Ⅱ

○大きくなってからでは・・・ 剪った曲げたは盆栽の常であり、時には大胆に鉄棒なんかをあてがって大がかりな改作などが行われるわけですが、やはり「立ち上がり」となるとそうはいきません。 樹が最もよく太って硬くなる部分である「立ち上がり」は二年、三年…

盆栽教育論(6) 実生苗と幼児教育Ⅰ

○立ち上がりこそ 盆栽を観賞する際の重要な評価ポイントの一つが「立ち上がり」と呼ばれるものです。 その名の通り、表土から伸び上がって、最初の枝に至るまでの幹模様(幹の様子)を指して「立ち上がり」と呼ぶわけでありますが、ここに曲(ひと曲がり)がある…

弟子達に与うる記(20) ジョーホー過多

このほど大学入試に「情報」という科目が課されるとのこと。私だったら百パー詰んでいた、と胸をなで下ろしておる次第でありますが、今の時代を生きる諸君は、きっとこの手のことにも強いだろうし、私のようにこうした科目を未履修で来たわけでもないでしょ…

盆栽教育論(6) 鉢に入った子供Ⅴ

〇変わるべきは子供? 近年は、スマートフォン、及びSNSに依存する子供の増加が問題になっているわけですが、現今の家庭「環境」を想像すればそんなのは最早必然のことと言えます。 もし子供をスマートフォン依存から立ち直らせたいのであれば、子供にか…

盆栽教育論(5) 鉢に入った子供Ⅳ

○「植え替え」に学べ 夏の暑さでヤケてしまった根っこ、新鮮な水を求めて鉢底から飛び出した根っこ、粒子が潰れて目詰まりをおこした土・・・植え替えを行う際には、こうして悪化した鉢環境を徹底的に改善する必要があります。 可能な限り古土を落とし、悪くな…

教育雑記帳(44) レッテルを貼りますか? 後編

「発達障害」とは各能力値(パラメーター)のアンバランスであると私は理解しています。健常児と呼ばれる子供より特化した部分もあれば、そうでない部分もある。それを知って、最善の策を講じるためにこそ診断はつくのであって、その子の教育はさらに質の良い…

教育雑記帳(43) レッテルを貼りますか? 前編

自分の子供が「ちょっと周りに合わせられないようだ」「自分の手にはどうにも余ってしまう」という焦燥に駆られた親が、思い詰めた末にやってしまうのが「レッテル貼り」という現象であります。 どんな「レッテル」を貼るかと言えば、すぐさま大きな病院のさ…

子宝日記(9) 我が子のかかと

「日に日に妻の腹は膨れてくる。」 いかにも近代文学が好きそうな一節であるが、オートマチックに膨れ上がってくる妻の腹を見つめる夫という存在は、だいたい戦々恐々としているものではあるまいか。 ちょっと前まで、何ほどの変化もなかった腹が「産休」で…

盆栽教育論(4) 鉢に入った子供Ⅲ

○与え「られる」環境 「鉢」の環境を整えるように、家庭環境を整えること。 それはまさに教育がはじまる前夜のことなのかもしれませんが、教育の仕事をしていて思い知らされるのは、その子供が生きる土壌の善し悪しであり、ここが根腐れしてしまっていては、…

盆栽教育論(3) 鉢に入った子供Ⅱ

○土と家庭 「自然状態」の「本来の姿」の子供なんてものが初めから存在しないように、もちろん「自然状態」の盆栽なんてものも存在しないのです。そんなのは、ただの樹であって盆栽ではないのだし、「狼少年」だって狼の規範と環境を与えられて育てられた子…

盆栽教育論(2) 鉢に入った子供Ⅰ

○よく似たふたり 盆栽が生きるのは鉢の中。 鉢に入れられた樹は、ほしいままに根を伸ばすことも出来なければ、それによってぐんぐん一人で伸び出すこともままならず、ちょっと陽気が好ければ、いつだって水切れの危機と隣り合わせの状態です。鉢に入っている…

盆栽教育論(1) 序

互いにベクトルの違う「ゆかしいもの」は、いつかどこかの地点において不意に落ち合うのではないか、というのが私のぼんやりとした実感であります。 たとえ性質の異なる別個の趣味であれ、学問であれ、雑多な読書であれ、それを一個の人間が「ゆかしい」「な…

蝸牛随筆(10) 夜と光

汽水の川が海に注ぐあたり。 幾つもの川を横切って、平野を抜けて、小さな峠を二つ三つ抜けて、ようやくここまで来た。 実に三年ぶりである。かつての写真と見比べると、父の頭には白髪が増えて、祖母の座高はちょこなんと低くなった。毎年来ていた海端の宿…

塾生心得 一月のお便り

比較的穏やかな天候とともに、二〇二三年がスタートしましたね。 除雪作業なく年内の教室を終えられたことは、たいへん嬉しいかぎりでした。この調子でそっちの労力を指導の方へもバシバシ注いでいきたいところです。 生徒のみなさんは、どんなお正月を過ご…

塾生心得 共通テスト覚書 後編

「共通テスト」の国語で顕著なのは、二つの文章や添付されている図表を比較するというものです。以前は現古漢文を合わせて四つ、それぞれ二十分以内に読み込めば事足りたものが、しめて五つになったり、論説文にチャートが付いたり、果ては資料にまで目を通…

塾生心得 共通テスト覚書 前編

私はやっぱり「センター試験」と言ってしまうけれど、まぁ、大学入試センターがやってる試験なわけだから、ギリ間違ってはいないということでご容赦いただきたい。 それでもこの程の「共通テスト」というやつは「センター試験」と比べると、どうも毛色が違っ…