かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

教育

教育雑記帳(40) 手もと九割 後編

教育現場に居合わせる人間だからこそ出来る仕事をしなければ、指導者の立ち位置は将来的にタブレットに場所を明け渡すことになるでしょう。 書かれた答えを見ることは誰にだって出来ますが、その答えが刻まれるまでの「間」に立ち会えることこそが、指導者と…

教育雑記帳(39) 手もと九割 前編

子供の書いたものが百点になったか否か、今日学習する分の課題をみんなこなしたか。 こんなことは、指導者と名の付く人でなくたって、誰にでも出来る確認作業に過ぎません。 世の教育現場に立つすべての人間が、こんな基準で子供の学習の達成度なんてものを…

塾生心得 訂正の精度 後編

「訂正」とは「学び」のチャンスであります。 だからこそ、正解するよりも訂正することの方がよっぽど難しい。 正解とは正直なところ、実に味気ないものなのかも知れません。クイズ番組を見ていても明らかなように、ピンポーンと正解してポイントが加算され…

塾生心得 訂正の精度 前編

この間、ふとこんな警句が口を突いて出ました。 「間違いを訂正することは、問題を解くことより難しい。」 我ながらなかなかどうして、深い事を申してやったぜ、とひとりして悦に入っていたところ、「え? 先生、これってどこか間違ってます?」と言われて「…

教育雑記帳(38) 英語のはじめ時 後編

そもそも、こちらの指示や学習のアドバイスすら、ちゃんと伝わっているのだか定かでない段階にある子供に、英語を習わせるなんてことは、愚かしい倒錯に過ぎないのです。 向こうの言葉を覚えるならば、それに対応する母語という基礎がしっかりと出来上がって…

教育雑記帳(37) 英語のはじめ時 前編

このところ、小さい子にやたら英語の勉強をさせる風潮が出てきたのは、英語が小学校に降りてきたせいでありましょう。 国際競争力だか何だか知りませんが、私は国語も覚束ない子供にアルファベットを書かせたり、「ハウアーユー」「アイムファインセンキュー…

教育雑記帳(37) 言葉の感度 後編

最近の子供達が、どのように語彙を増やしているのか分かりませんが、やはり現場に出ていると「言葉の感度」が低いな、と感じる子供を見かけることがあります。 まずもって、語彙習得に欠かせないのは、知っている言葉にせよ、そうでない言葉にせよ、それをキ…

教育雑記帳(36) 言葉の感度 前編

CMの台詞、ゲームの横文字、家族の会話。 これらはみな、私の語彙を育てるのに一役買った立役者たちであります。 今の子供達はテレビよりユーチューブで、自分の好きなものだけ選りすぐって観る、という恩恵に浴しているようですが、「テレビっ子」として…

塾生心得 国公立を目指す人へ 後編

定期テストではそれなりな点数を取れていたし、その時になってホンキを出せば、国公立大くらい行けると信じている受験生。これは歯が抜けるほど甘い考えであります。 「金に糸目は付けない」という親の勧めで、名の知れた進学塾の門を叩いて、みっちりコース…

塾生心得 国公立を目指す人へ 前編

ちょっと、喩え話をしましょう。 ここに自惚れの強い大工がいます。この大工、とある大金持ちに依頼されて、とにかくデカくてゴージャスな家を建てることになりました。 「金に糸目は付けない」との注文通り、一流の建材を揃えて、さて作業に取りかかったも…

教育雑記帳(35) 三つ子のキャパは 後編

何か新しいことを学ぶにしても、知識を定着させるにしても、頭に一時的に入れておける容量が大きければ大きいほど、情報を比較したり、整理する作業が捗るのは当たり前。それは大きな作業テーブルに喩えられます。 しかし、一方の小さなテーブルで知識の整理…

教育雑記帳(34) 三つ子のキャパは 前編

よく子供が勘違いすることわざに「三つ子の魂百まで」という言葉があります。 これは金さん銀さんみたいに、三つ子が長生きするということではなくて、小さい内に身につけたものは生涯忘れない、という教訓めいたことわざです。 まぁ、そりゃそうだろ。と軽…

定点観測(43) 抽象的で具体的な会話

カレンダー少年をはじめ、公文の算数を進めてきた子供達と数式を追いかけていると、段々会話が抽象的になっていく。 例えば分数が入った四則混合。 カッコの中を先に計算しながら、他の項において同時進行で通分の準備をしたり、約分のために仮分数に直して…

私と公文式(27) 縮約のすすめ

私がこうして「ああだこうだ」と、心にうつりゆくよしなしごとを紡いで、曲がりなりにも文章をものすことが出来ているのは、やっぱり公文の国語が効いていると思うのです。 長い付き合いと言うより、もはや腐れ縁。数々の名所やお気に入りスポットはあれど、…

弟子達に与うる記(16) ゆかしい方へ

興味がないものを研究の対象に選んだところで、そんなものが研究になるわけがないのです。自分が「ゆかしい」と思えるからこそ、研究が出来るのです。 世の中には「大学を出ること」だけが目的のような人間もいますが、それはどこまで行っても学問と主体的に…

弟子達に与うる記(15) 学問のカタログ

大学とは、一つの大きなカタログであります。 それは学問のみにあらず。そこには様々な考え方をもつ人間が入りみ混じれ、それぞれが何かしらの「ゆかしさ」を求めて奔走したり、彷徨ったりしています。 大学一年生になった諸君はまさにそんな、どこから手を…

教育雑記帳(33) 本を読む子/読まない子 後篇

日頃から「本を読まない」、語彙数が決定的に不足がちな彼らは、どのように文章を理解しているのでしょうか。 おそらく彼らは、たとえそこに分からない言葉があったとしても「分かったつもり」でそのまま読み飛ばしていることがほとんどだと思います。 これ…

教育雑記帳(32) 本を読む子/読まない子 前編

何でもかんでも二分法で考えるのは、教科書の定番になっている評論みたいで気が引けますが、こればっかりは断言できます。 本を読む子/読まない子との間には、厳然たる「/」が存在します。 教室で学習している子のとある反応を見るだけで「ああこの子は読…

塾生心得「10月のお便り」

暑さもお彼岸まで。すっかり秋の風が入って、ようやく過ごしやすい季節になりました。 ナントカと秋の空は変わりやすいとは申しますが、受験や進学を考えているみなさんの気持ちにも様々な変化が現れてくる、というか現れてくれないと困るのがこの季節です。…

教育雑記帳(31) 渡り鳥に告ぐ

取りあえず通わせておけばよい学習塾なんてありません。 世の中にはどうも、そこのところが分かっていなくて、青い鳥を捜して塾を渡り歩くワンダー・フォーゲル(渡り鳥)が一定数あるようですが、残念ながらそうした親子に安住の地はありません。 かつて私も…

塾生心得「言語化してますか?」後編

「参勤交代」が何かを説明するためには、その歴史的意義はもちろんのこと、それを説明するための「江戸幕府」であるとか「大名」の位置づけであるとか、諸々のキーワードについても語れる状態でなくてはいけません。 これが出来ていないからこそ、結局のとこ…

塾生心得「言語化してますか?」前編

「参勤交代」とは何ぞや! という先制パンチを受けて、そいつをひらりとかわしながら「それは、江戸幕府が」云々と講釈をはじめられた君は大丈夫。多分この先の話を読まなくとも、もう既に肌身に染みて分かっていることだろうから、別の記事を読むがよろしい…

教育雑記帳(30) 時には風のように 後編

自分の声を子供に届けたいのであれば、「聞かせる」のではなくて「聞いてもらえる」よう心を砕かねばなりません。そんなことは、小学校で習うことのようですけれど、あれこれ忙しい現場ではついつい疎かになってしまうこともしばしばです。 釈迦が弟子達に「…

教育雑記帳(29) 時には風のように 前編

騒々しい教室、「やかましい!」と注意すべき対象は、子供ではなくて寧ろオトナの方なのではないでしょうか。 教育が行われる場において、オトナが声を張らねばならぬのは授業の時だけでいい、と私は常々思っています。 哀しいことに私の身近にも、やたらめ…

定点観測(40) 泣く子は育つ!

この仕事をしていて、時々ハッとする。 泣いている子供を見ても「おお、泣いてるな。」くらいにしか思わない自分を発見して「オレという奴はそんな血も涙もない鬼畜野郎だったのか・・・。」という気分に苛まれる。 もちろん、何かこちらがイケズをしたり、無理…

教育雑記帳(28) 待てない!

お子さんは、待てますか? そして、どこまでガマンが出来ますか? 常々、私は「待つこと」そして「ガマンすること」こそ、幼時に付けておく必要のある能力だと思っています。これが出来るか否かによって、子供の学習進度には大きな開きがでるのです。 例えば…

定点観測(39) とはずがたり

さっきまで黙ってお勉強に集中していた子が、帰る間際になって語り出す。 一心に動かしていた鉛筆をピタっと止めて「あ、そう言えばさぁ」と、語りかけられることがある。 そんな感じで彼らが問わず語りに喋り出すのは、気持ちが上向くときと決まっている。 …

塾生心得「文章問題がちょっと・・・」後編

文章問題でつまづく生徒に顕著なのは、彼らが非常に近視眼的な考え方で、文章題にアクセスする傾向であります。 「書いてあった数を単に足せばイイ」とか「これは一次方程式の問題だから必ずそれで解かなければならない」なんて了見であるから迷子になるので…

塾生心得「文章問題がちょっと・・・」前編

「ウチの子、計算はちゃんと出来るんですけど、文章問題がニガテなんです。」というお母さん達からのSOSを受けることがよくあります。 それでもバチあたりな私は、そんな話を半分聞き流しながら「ああ、この子は国語がニガテなんだなぁ」と、一人納得して…

些事放談「問題があるってことは」

教室に来てプリントを解いている子供を見ていると、何だか羨ましくなることがあります。 一つ解いたらまた次の問題、そしてまたそれをクリアすると次のステップへ。とにかく公文のプリントをわしわし解いている間は、他のことを考えることなく目の前の問題に…