かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

教育

塾生心得 モヤモヤするってことは Ⅲ

だからこそ私はまず塾生諸君に「学問」をする下地を作れと申すのです。 学問をすることとは、一つの「ものの見方」を学び、なおかつ自分と違う主義主張を持った他者の視点や見方が存在することを知るということなのです。現在わが国ではそうした「学問」の価…

塾生心得 モヤモヤするってことは Ⅱ

しかしながら、同情しているばかりではラチがあきません。「同情するならアンサーをくれ!」という切実な訴えが飛んできそうなので、ここは私なりの処方箋をモヤモヤで悩める諸君に出しておかなくてはなりますまい。 私が思うに、そのモヤモヤはおよそ無自覚…

塾生心得 モヤモヤするってことは Ⅰ

塾生諸君、最近モヤモヤすることはありませんか? 受験を控えた人ならば、だいたい部活動も一段落したところであろうし、夏休みも終わった、模試なんてものもはじまった・・・思ったより結果が振るわない、「これはヤバいぞ?」という局面にあって、いよいよ「…

塾生心得 九月のおたより

暑さ寒さも彼岸までと言いますが、はてさてこの残暑、あと半月でおさまることやら。夏休みが終わり、生徒のみなさんはきっと休み中に蓄えたエネルギーを、鋭意日々の勉強につぎ込んでいることでありましょう。 え? 夏の疲れが出てバテている? 今日はそんな…

作文の時間(17) 読書感想文はムズイ? 後編

自分の〈読み〉を展開することとは、作品に新たな息吹を与える、謂わば二次創作的な色合いさへもつものであります。 ありきたりな「読書感想文」に散見される「すごかった」「びっくりした」「おもしろかった」も結局、何がどのような点で超越していたところ…

作文の時間(16) 読書感想文はムズイ? 前編

さて、「読書感想文」とは何でしょうか。 よくよく考えてみると、どこからどこまでが読書感想文と呼べるものなのか、私にはよく分からなくなってくるのです。 タイトルは『「ナントカ」を読んで』という感じで、その本を選んだ経緯やあらすじからはじまって…

教育雑記帳(68) ハンドパワー

「ハンドパワー」。無理矢理翻訳すると手力。天岩戸をこじ開けた、あの手力己尊のそれはやはり想像を絶するものであったろうと呑気な推測をしつつ、親戚の子の握るこども鉛筆を見つめる午下がり。 私だけでしょうか、最近の幼児はどうも鉛筆を握るのが不得手…

作文の時間(15) 私の好きなこと Ⅲ

「すごくオモシロイ」と自分でハードルを上げただけあって、確かに面白い。 作文の構成もそこそこに見切り発車した割りには、自分の「大好きなプラモ」についてたっぷり語っています。何でもそれは恐竜のプラモデルだそうで、最初に骨格を組んでから「プラス…

作文の時間(14) 私の好きなこと Ⅱ

「好き」の対象について語る言葉を持ち合わせるからこそ、それは「文化」としての長い生命を持ち合わせるのだと私は思うのです。カルチャーとサブ・カルチャーを分けるものを強いて挙げるならば、それこそが「好きについて語り得る」言葉の質と量なのではな…

作文の時間(13) 私の好きなこと Ⅰ

今年も恒例の夏の作文教室がはじまりました。 さて本日は集まった子供たちにお題を出して、それについて自由に作文を書いてもらいます。 お題はあえてざっくりと「私の好きなこと/もの」。もちろん対象は何だっていい、ちょっと好きでも大好きでもどっちだ…

一部記事の取り下げに就いて

読者諸氏へ。平素より拙ブログにお付き合いを頂き、深く御礼申し上げます。 さてこの度、退っ引きならぬ事情によりブログ記事のバックナンバーから一部の連載記事を取り下げる運びとなりました。ご愛読いただいた方、そして「星」まで付けて下さった方々には…

教育雑記帳(67) 悪筆の栄え Ⅱ

字が変わってきた子供を、これまで何人も見たことがあります。 もちろん字そのもののバランスが取れて、ヘンなクセ字が是正されるという点もありますが、何より字が変わってくる子は、たいへん計画的に字を書けるようになって来ます。 残りのスペースを塩梅…

教育雑記帳(66) 悪筆の栄え Ⅰ

字を見れば、それを書いた人物の人品が何となく想像出来るというもの。ましてや子供が書く字となると、それはほとんど自己紹介と同じようなものなのではないかと私は思うのです。 いま私の前に四則の計算をする子が二人あるとしましょう。一人は勢いに任せて…

塾生心得「八月のおたより」

「いつまでも あると思うな 夏休み」と早速、笑点の答えみたいなのを一発。その心はズバリ、お盆を過ぎると夏休みは倍速になるので気を付けましょう、という一つの真理をそこの夏休みボーイとガールにアドバイスしておきたかったのであります。 夏休み真っ盛…

教育雑記帳(65) ねじれ英語教育 Ⅱ

今や小学校から英語の勉強を義務化されているわれわれは「国際競争力」の名の下に、いったい何と競うことを企図されているのか・・・。 おそらくそれは、資本という優勝劣敗ゲームのもとに目まぐるしく変転する世界市場という場において戦える人材になることを…

教育雑記帳(64) ねじれ英語教育 Ⅰ

なぜ英語を勉強せねばならないのでしょうか。「この頃のように日本もだんだん国際的に顔が広くなって来て、内地人と外国人とが盛んに交際する、いろんな主義やら思想が這入って来る、男は勿論女もどしどしハイカラになる、と云うような時勢になっ」たがため…

教育雑記帳(66) 違うものは違う Ⅳ

「違う、なんて言う権利がおれにはない」と退くのは誰にでも出来ること。それに比して「それは違う」と叱正した人の風当たりが強くなるのもまた避けられないことでしょう。 ですが、万人がおめおめと非倫理的な行いの前に退却していてはロクな世の中になりま…

教育雑記帳(65) 違うものは違う Ⅲ

「違う」ものを「違う」と言わない場面は、よもや学習面ばかりではありますまい。子育ての場面において「私は子供の言うことを否定しません」と豪語する人がありますけれど、果たしてその子供は絶対に間違えないのでしょうか。もちろん、間違えたとしても頭…

教育雑記帳(64) 違うものは違う Ⅱ

「国語」の学習において、私は子供といえども決して容赦は致しませぬ。彼らから打ち返されてきた答えを受けたら、あらゆる誤読の可能性を探り、彼らが迷い込んだ袋小路の出口へいち早く先回りし、時に綿密な対話と言葉の擦り合わせを繰り返しつつ、「違う」…

教育雑記帳(63) 違うものは違う Ⅰ

『子供が勉強で間違えても「違う」とは言わないようにする。』 この頃こんな教育方針を耳にしたのですが、これに如何ともしがたい違和感を覚えてしまう私は旧弊な人間なのでしょうか。 一応私は国語畑の人間ですから、自分の授業や指導の中では極力、子供達…

塾生心得 七月のおたより

二十年も前の夏はこんなに暑くるしくはなかった。と言われても、生徒のみなさんはポカンとしてしまうことでありましょう。 しかしながら、二十年も前の夏はWi-Fiもとんでいなかったし、そもそもスマホだってありませんでした。と言われたら「ウソ、マジで?…

教育雑記帳(61) グラグラの土台 Ⅱ

●「非積み木型」学習者 積み木で遊ぶことが出来ない人間があるとしたら、彼はおそらくそれを積まずに散らばして満足するのではないでしょうか。 バラバラに散乱する積み木を「非積み木型」学習者の秩序立っていない、言うなればカオス状態な頭の中と見立てて…

教育雑記帳(60) グラグラの土台 Ⅰ

●「積み木型」学習者 「ンなこと言ったって、オモテなんて上がらねぇよ。なにせ土台が腐ってるって、この間も、そう言ってやったんだよ。」 というのは落語でお馴染みの大工さんの台詞。この一節が私の口をついて危うく出そうになったことの発端は、とんでも…

塾生心得  ただいま勉強中 Ⅳ

新しいことを学びはじめる時、大切なことは何でしょうか。 私は「言葉を手に入れる作業」だと思います。自分の知らないことを学ぶに及んで、まず最初の関門となるのが「言葉」なのです。 「同じ日本語で書いてあるのに、何が書いてあるか分からない・・・」とい…

塾生心得  ただいま勉強中 Ⅲ

要点「だけ」をドカンと覚える。 つまりはテストに出そうなところだけを効率的に頭へ詰め込んで、とにかくあらゆる問題のパターンを網羅して、その攻略法をガリガリ勉強していく・・・それが私のかつての勉強スタイルでした。このような「点取り虫」的な勉強は…

塾生心得 ただいま勉強中 Ⅱ

さて、参考書も決してお安いものではありません。今回私は自分のお財布をはたいて自分の勉強用に『自由自在 理科』(受験研究社刊)と「一問一答集」を購入したわけですが、なかなかどうして少なからざる出費であります。 塾生諸君にはいつも申しているように…

塾生心得  ただいま勉強中 Ⅰ

塾生諸君、私はただいま理科、それも化学のお勉強をはじめたところであります。 殊に化学の門外漢であった私は、とある理由からこのを勉強いたさねばならなくなった次第なのですが、驚くべきことに現今の中学理科には、かつて高校で習うはずだった単元までも…

教育雑記帳(59) それを天秤にかけますか? Ⅲ

「それを天秤にかけますか?」 その子は基礎学力を全く放擲してプロのスポーツ選手にでもなるのでしょうか。百歩譲ってもしそんな夢が叶うにせよ、「読み・書き・計算」もままならないような人物が日の丸を背負ってアホ丸出しのインタビューに応じる姿を、私…

塾生心得 「六月のおたより」

衣替えの季節になりました。ちらほらと夏服の白さを見つけるにつけても、清々しいような「また夏が来たんだ」という気持ちを新たにさせられる今日この頃。生徒のみなさんは、机の向こうのオトナ達よりも、よっぽど早く暑さに慣れてしまったのではないでしょ…

塾生心得 国語力とは何か Ⅲ

●国語力のある人間とは何か? さて、改めて問いましょう。国語の力とは何でしょうか。私はそれを「消化する力」であると思うのですが、塾生諸君は如何でありましょうか。 国語が出来る、ということは「読めば分かる」ということであり、「自分の考えを述べる…