かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

「下ごしらえ」が大事。 【かたつむり通信 4号】

数学をしている最中、突然私に「下ごしらえをしないと、おいしく料理できない」と言われた経験のある人、ハイ手を挙げて。と言ったらほぼ全員が挙手をするのではないか、というヘンな自信があります。 「下ごしらえ」。これは取り出して眺めてみると実によい…

「読書感想文」よ、さようなら 【かたつむり通信 3号】

夏休みの終わりは、すなわち作文の締め切りを意味するわけで「諸君の作文の責任は私が取る」と豪語した以上、私はセンセイ方の原稿のあがりを今か今かと待っている編集者のような状態。下書きの誤字を直しながら「もうちょっと、ここの考察を・・・」と、いつま…

読書感想文にもの申す 【かたつむり通信 2号】

お盆が明けまして、夏期講習も終盤戦に突入しました。夏休みを通してイイ感じに煮詰まってもらった塾生のみなさんも、そろそろ新学期にチューニングを合わせてゆかねばならぬ頃合いでありましょう。 前回の通信でもふれました「作文講座」のなかで、意外にも…

作文は自由で愉快 【かたつむり通信 1号】

今年もかたつむり学舎の夏期講習に多数のご参加をいただきまして、御礼を申し上げます。おかげさまで塾長はひとり、目まぐるしい夏を謳歌しております。はじめて本学舎の門をくぐったみなさんには、おすすめメニューである「作文講座」を味わっていただいた…

かたつむり学舎の理念

一、論理的に考える力を育てる 勉強とは〈何が、どうだから、こうなった〉の積み重ねです。各教科の勉強を通じて(それが将来絶対使わないと思う知識であろうと)、学生のみなさんは論理的にものごとを捉えるトレーニングをしているわけです。 かたつむり学舎…

ごあいさつ ~かたつむりの歩みでも~

この学び舎を開いて早や十年、想い出深い数々の塾生たちと出会い、そして新たな挑戦のとば口へと送り出してきました。彼らを支えているつもりが、ふと気が付けば支えられている自分があり、思いがけない成長に嬉しい一本をとられることもしばしば。 勉学とい…

文房清玩(13) 机 Ⅴ

机の高さや「ぐらつき」、傷といった諸々の検分が終わったら、最後は忘れずに椅子の善し悪しを測らなくてはならない。 もちろん、最初からガタついている椅子は論外であるが、学校の椅子の塩梅ほどムズカシイものはないと私は常々思っている。 まず、膝裏に…

文房清玩(12) 机 Ⅳ

三、学校の机 四月は忙しい。なぜなら新しい教室の机をよくよく吟味しなければならぬからである。 新しいクラスの新しい座席に着いた瞬間から、クラスメートの顔ぶれより先に気になるのは、机の塩梅である。身長も低く座高も低い人間にとって、先ず以て一発…

育児漫遊録(40) 寝返った男 Ⅲ

両足の蹴っ張りが推進力となることを、もしかするとこの男は理解しているのだろうか。 トムとジェリーであれば、こんな風に両足が空回りしていてもピューンと矢のように進んでいくのに、我が子の前進はいまだ仮想の域をでないようである。 畳でこれをやると…

育児漫遊録(39) 寝返った男 Ⅱ

さて、寝返ったはよいものの周りを見渡す以外に、この男、別段何をする様子でもない。ただ時折、突っ張っていた両手を離して腹でバランスを取ろうとする様子が見られる。その拍子で両手同様、両足もまた宙に浮いてバタつく姿は、虚空を泳ぐようでもあり、も…

育児漫遊録(38) 寝返った男 Ⅰ

畳の上へ転がしておいたはずなのに、いつの間にか腹ばいになって、ニヤニヤ得意そうにこちらを見ている。両手を突いてぐんと頭を伸び上がらせる様子はまるで、どこかの展望台にはじめて上がった人の風情である。 この男、ついと昨日までこんな芸当は出来なか…

文房清玩(11) 机 Ⅲ

そんな不遇の机に転機が訪れたのは、それこそ大学を出てからであった。あの地震で以てやられた家を建て替えて、新しい部屋を拵えるとなったときに、わが学習机にようやく白羽の矢が立ったのである。 折角の新しい部屋であるから、私は是非とも垢抜けのしたデ…

文房清玩(10) 机 Ⅱ

二、学習机 katatumurinoblog.hatenablog.com 幼稚園を卒園する間際、離れて暮らす父方の祖母と一緒に家具屋で選んだことを覚えている。ランドセルと諸々の小道具はこちらで選んだから、机はそちらで・・・という了解が成立していたのやも知れない。ともかくも…

文房清玩(9) 机 Ⅰ

物心のつく前から、これに向かうように仕向けられてきたような気がしないでもない。筆記用具を持ったならば、必ずそこになければならないもの、それが机である。 茶の間のテーブル、勉強机、学校の机、講義室の机、そして私の愛用する文机・・・思えば自分は様…

些事放談 『ありき』の世界 Ⅲ

原発処理水の海洋放出、鳴り止まぬメイワク電話、風評被害、食の安全性・・・これらの問題群にわれわれは如何に向き合ってゆくべきなのだろうか。 これからの青写真を描いていくにあたって、まずは『ありき』の思想からの脱却が図られなければならない。決定し…

些事放談 『ありき』の世界 Ⅱ

ちょっと中国側になった気持ちで考えてみる。ちょっとした貿易相手国で、今は経済的技術的にも求心力を喪いつつある日本という国が、「海洋放出やります。その安全性を説明しに来ました。」と言ってきたら、やっぱり「ハ? ふざけんなし。馬鹿じゃねぇの? …

些事放談 『ありき』の世界 Ⅰ

原発処理水の海洋放出がはじまったようだ。それに伴ってお隣の中国から福島をはじめとする近県に、オカシナ電話がかかってくるそうで、毎朝のニュースはその心ない所業をこぞって取りあげている。 確かにそれは「心ない所業」であって、日本の一個人のもとへ…

盆人漫録(39) え? 切るの?

自分が持ち込んだ教材を各人それぞれ作業することもあれば、誰かが持ってきた樹を合議にかけてやいのやいのと手を掛けることもある。時には害虫の話が各人の野菜作り相談会と化すなんてこともしばしばですが、それもまた貴重な情報交換。わが古川盆栽同好会…

塾生心得 モヤモヤするってことは Ⅲ

だからこそ私はまず塾生諸君に「学問」をする下地を作れと申すのです。 学問をすることとは、一つの「ものの見方」を学び、なおかつ自分と違う主義主張を持った他者の視点や見方が存在することを知るということなのです。現在わが国ではそうした「学問」の価…

塾生心得 モヤモヤするってことは Ⅱ

しかしながら、同情しているばかりではラチがあきません。「同情するならアンサーをくれ!」という切実な訴えが飛んできそうなので、ここは私なりの処方箋をモヤモヤで悩める諸君に出しておかなくてはなりますまい。 私が思うに、そのモヤモヤはおよそ無自覚…

塾生心得 モヤモヤするってことは Ⅰ

塾生諸君、最近モヤモヤすることはありませんか? 受験を控えた人ならば、だいたい部活動も一段落したところであろうし、夏休みも終わった、模試なんてものもはじまった・・・思ったより結果が振るわない、「これはヤバいぞ?」という局面にあって、いよいよ「…

育児漫遊録(37) 頸は燃えているか? Ⅲ

六ヶ月を迎えた我が子の頸は、あの頃のぐちゅぐちゅの真っ赤っかがウソであったかのようにキレイになった。 もちろん、お医者さんをはじめとする医院のみなさんのセカンド、サードの助言と、自分で言うのもなんであるが我々夫婦が一日二回せっせと洗って、保…

塾生心得 九月のおたより

暑さ寒さも彼岸までと言いますが、はてさてこの残暑、あと半月でおさまることやら。夏休みが終わり、生徒のみなさんはきっと休み中に蓄えたエネルギーを、鋭意日々の勉強につぎ込んでいることでありましょう。 え? 夏の疲れが出てバテている? 今日はそんな…

育児漫遊録(36) 頸は燃えているか? Ⅱ

我が子の頸は燃えている。 このままでは頸がぐちゅぐちゅの赤ん坊になってしまう。ただならぬ危機感に苛まれつつ、私と妻は頸の炎症が進む根本的な要因を話し合った。 第一に彼の頸は例のむちむちに閉ざされていて、洗いにくいこと甚だしい。ベビーバスの中…

育児漫遊録(35) 頸は燃えているか? Ⅰ

生まれてこの方、鉗子で引っ張られた痕こそ痛々しかったけれど、あっちこっちがむっちりむちむちで、これぞ健康優良児と思い込んでいた親馬鹿は電撃的に打ち砕かれたのであった。 「頸の方がちょっとアレかなぁ。」 まだ頸もすわらない時分であったか、我が…

盆栽と暮らす(13) ちょっと見ぬ間に

厳寒期と盛夏は、とてもじゃないけれど盆栽鋏を持つ手も鈍ります。 このところは日に三度の水やりも、その都度大汗をかく始末ですから、一鉢ごとに目をやって手を掛けるなんて余裕もありません。 小さい鉢は十把一絡げにして庭木の下へ避難させ、酷烈な直射…

作文の時間(17) 読書感想文はムズイ? 後編

自分の〈読み〉を展開することとは、作品に新たな息吹を与える、謂わば二次創作的な色合いさへもつものであります。 ありきたりな「読書感想文」に散見される「すごかった」「びっくりした」「おもしろかった」も結局、何がどのような点で超越していたところ…

作文の時間(16) 読書感想文はムズイ? 前編

さて、「読書感想文」とは何でしょうか。 よくよく考えてみると、どこからどこまでが読書感想文と呼べるものなのか、私にはよく分からなくなってくるのです。 タイトルは『「ナントカ」を読んで』という感じで、その本を選んだ経緯やあらすじからはじまって…

蝸牛随筆(47) 暮れのこる雲に Ⅲ

もとは田の道である。 街区はそんなかつての畦に沿うて路をいくたりと走らせ走らせ、あらゆるところに滞りと湾曲を用意した。 古い街区、新たに拵えた街区。そのいづれもがただでさへ真っ直ぐでない路々を塞ぐように突出して、あらゆる箇所にどこかどん詰ま…

蝸牛随筆(46) 暮のこる雲に Ⅱ

katatumurinoblog.hatenablog.com 窓の外は次第に暮色を帯びてくる。 暮れ残った光は入道雲をしたたるような朱に染めながら、奥羽の山々の稜線に没しようとしている。その山際のえもいわれぬ輝きは、所詮私の筆では言い尽くすことができない。 遙かな穂波と…