かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

塾生心得 ことばの話

よく大学生には、図書館で調べた専門書の言葉をそのまま論文に引用して、結果的に何が言いたいのかよく分からなくなっている人がいます。これは第一に、使用した言葉がまさに借り物状態で、それが自分の深く理解している《ことば》でないというところに問題…

盆・再考 波平さんを想う

「盆栽とは?」と世の中の人々に問いかけるとします。大方の人はやはり、おじいちゃんの趣味、あるいは直感的に「波平さん!」と応えることでしょう。波平さんが日当たりの良い縁側で、松の盆栽をチョキチョキしている。たまにカツオ君が野球ボールで棚場の…

盆・歳時記 其の六

夏越し それは酷烈な季節であった。なんて文学的な述懐をこのところ毎年のように繰り返さねばならない。遮光したって地べたからの輻射を免れるわけではない。日に三度の水やりは茹で釜と化した鉢を冷まさんがためでもある。挙句の果てには鉢ごと土中に埋めて…

盆・歳時記 其の五

仕立て鉢 素焼きの鉢、あるいはダオン鉢なんて言い方をする。これに入っているのは、挿して一年、二年生の若手だったり、永らく棚場のスタメンを張ってきたけれど、惜しいかな故障につき二軍で調整中のベテランの樹だったりする。 風通しの好い快適な療養所…

塾生心得 国語の話

『国語をおろそかにする人は、英語なんて出来やしないし、数学だって分からない。』少し乱暴な物言いですが、これは私の持論です。 国語という教科は、私たちの母国語である日本語という言語を使いこなすための練習です。そう言うと、中には「いやいや、フツ…

盆・歳時記 其の四

樹形 水戸黄門や寅さんの物語パターンにテレビの前の我々がホッとさせられるのと同じように、盆栽にも一応基本の型がある。そしてそれが芸術を観る際のほどよい導入となってくれるのは、「型」と名付けられるものの本質である。 さはれ盆樹という盆樹が、み…

盆・歳時記 其の三

実生 イイ歳をしてガキの頃より熱心に、いや血眼になって公園のドングリを拾っている。まずは発芽するかどうか、そして如何な性分の樹が出てくるか、これもまた、かつて親しんだガチャガチャの感覚である。 およそ盆栽が市場を通して我々の手許へ渡るとなる…

盆・歳時記 其の二

針金かけ 教壇に立っていた頃より、よっぽど教育らしいことをしている。なんてことを思いつつ今日も針金をかけている。方向を修正したり、立ち上がってしまった枝を下げたり引っ張ったり、将来そうなってほしいヴィジョンが明確でなければ、いたずらに樹を疲…

かたつむりの歩み

なぜ当方の屋号が「かたつむり」なのか、ということを問わず語りに語ってみようと思います。 かたつむりは、それなりに丈夫な殻と、やわらかな身体を持っています。同じ殻ならば「ヤドカリ学舎」のほうがよほど頑丈そうですが、私がかたつむりに魅かれるのは…

盆・歳時記 其の一

盆栽との付き合いをはじめてこの方、さまざまのことに気づかされている自分があることに気づかされる。盆栽との生活、またその折々の作業にふれて、つらつら思うことを書き留めたものをご紹介申し上げます。 盆栽棚 理想の棚は波平さんのそれである。こぢん…