かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

塾生心得 「六月のおたより」


 衣替えの季節になりました。ちらほらと夏服の白さを見つけるにつけても、清々しいような「また夏が来たんだ」という気持ちを新たにさせられる今日この頃。生徒のみなさんは、机の向こうのオトナ達よりも、よっぽど早く暑さに慣れてしまったのではないでしょうか。

 さて、六月は・・・と言っても、なかなか思い当たる行事のないのがこの六月。田植えもあらかた終わったし、運動会も五月のうちに済ませてしまう学校もけっこう多いようです。だったら、六月には何をすればよいのかしらん・・・。

 古来わが国には「水無月祓え」という行事があります。「みなつきはらへいとをかし」と清少納言も書いているように、このイベントの要点はズバリ半年分の穢れをサラッと水に流すこと。これは現代風に言うと、正月から現時点までの「やっちまった」反省案件やら何やらを仮託した形代を川に流して「よし七月から再スタートだ」と開き直れる、まさに「をかし」なイベントなのであります。

 「水に流す」と言うと、何とも軽い解決方のように聞こえがちですが、私が思うにこれは最も簡便な心の浄化(カタルシスの)手段なのではないでしょうか。どうにものっぴきならない硬直した状況に追い込まれた時、仲のよい友達との関係がこじれてしまった時…そんな時に必要なのはサラッと開き直って考えたり、素直に謝ってみたり、ツマラナイ面子や蟠りをサラッと水に流して行動する勇気なのやもしれません。

 さりながら生徒諸君、環境保全が騒がれる昨今、間違ってもテストの答案やらノートの切れ端などを、ゆめゆめ河川に流さぬように。くれぐれも「水に流す」のは心の中の澱(おり)くらいにしていただきたいところです。