かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

弟子達に与うる記(13) くらしのいろは

 「気ままな一人暮らし」とは言うけれど、それはけっこう一人暮らしに慣れてからの話です。

 受験生をもう一度体験できますよ? なんて言われたら私は二度と御免だけれど、一人暮らしてみると「受験生をやっていた」と言うより「やらせてもらっていた」ということが、身にしみてが分かるかと思います。

 今まで何だかんだ誰かにやってもらっていたことを、ほとんど全部引き受ける必要が出てくるわけですから、それは必然と言えましょう。それこそ如何に自分が「与えられていたか」ということを思い知らされる、貴重なきっかけかも知れません。

 食事については前回述べた通り。その外にも掃除や洗濯、あとは光熱費の支払いや、新聞屋との格闘なんてのもあったりします。

 まぁ、炊事以外について私はあまりマジメな方とは言えたものではありませんでしたが、やはりいざ自分でやるとなると、マジでやり方が分からない自分を発見して驚くなんてこともしばしば。

 いったい自分は今まで何を勉強してきたのかしら、と新聞屋にもらった粉石鹸を片手に立ち尽くす洗濯機の前。

 というか、親切にもこの粉石鹸をくれた新聞屋は、ひょいひょい、ってな感じで契約書なるものを置いていったけれど、新聞って毎日とらなきゃいけないものだよなぁ・・・。

 哀しきかなこれまで番組欄と四コマしか読んでいなかった新聞を「実家がとっていたから」という理由でほぼ考えなしにとってしまった春の日の夕暮れでありました。

 学生にとっての三千円は大きい。結局新聞は二年くらいとり続ける羽目になりましたが、みなさんなら私よりもそっと有意義に新聞と付き合えることでしょうから、そこのところは諸君の判断にお任せしたいと思います。(次回に続く)