かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

蝸牛随筆

蝸牛随筆(47) 暮れのこる雲に Ⅲ

もとは田の道である。 街区はそんなかつての畦に沿うて路をいくたりと走らせ走らせ、あらゆるところに滞りと湾曲を用意した。 古い街区、新たに拵えた街区。そのいづれもがただでさへ真っ直ぐでない路々を塞ぐように突出して、あらゆる箇所にどこかどん詰ま…

蝸牛随筆(46) 暮のこる雲に Ⅱ

katatumurinoblog.hatenablog.com 窓の外は次第に暮色を帯びてくる。 暮れ残った光は入道雲をしたたるような朱に染めながら、奥羽の山々の稜線に没しようとしている。その山際のえもいわれぬ輝きは、所詮私の筆では言い尽くすことができない。 遙かな穂波と…

蝸牛随筆(45) 暮れのこる雲に Ⅰ

暮れのこる雲のさそうようで、遠回りして帰ることにした。 何ということはない。おわりかけた日曜に用事を思い出して隣町まで出かけて帰ってきた、ただそれだけの話である。 時間を優先するのであれば、来たとおりに真っ直ぐな国道を帰ればよい。稲の穂はす…

蝸牛随筆(44) 盆支度 Ⅲ

かつて上方出身の友人に「下から伝い登って仏壇へ入るご先祖様の諸生霊」の話をしたところ、目を丸くして驚いていたのを覚えている。その友人曰く「実におどろおどろしい感じであるし、土着的な信仰の匂いがある。」とのこと。 「そもそも霊体が地を這ってい…

蝸牛随筆(43) 盆支度 Ⅱ

盆棚を吊りながらあれこれ片付けていると、仏壇の抽斗から線香の在庫が大量に出てくる。 線香を発見しかねた祖母が母に、無いから買ってきてくれろと頼んだのだろうが、母は母の所定の位置にしまうものであるから再び発見が遅れ・・・の無限ループが発生したの…

蝸牛随筆(42) 盆支度 Ⅰ

ヘンなゴザを買ってきて、それを仏壇から垂らしてみたり、ナマのソーメンを買ってきて野菜と一緒に吊り下げたり。 子供の時分は盆というものがとくと不思議な行事だと思っていた。今もなお不可解な点はなきにしもあらずなのであるが、クルクルと旋回する盆提…

蝸牛随筆(38) ボンベさん

お題「子どもの頃に勘違いしていた、ちょっと恥ずかしいこと」 原曲は米国の「リパブリック賛歌」。これがどういうわけか本邦に持ち込まれると、たちまち毒にも薬にもならない歌に早変わりする。 幼稚園の帰りの会は、とにかくあれこれ歌ってさよならをする…