かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

蝸牛随筆(17) 私とブログ Ⅰ

○処女航海

 そろそろ一年になる。私にとって、こうしたことの始まりは、きまって誰かに尻を圧される形になるわけであるが、ドンと圧されて転びだした拍子に止まり時が分からなくなって、結局の所今度は誰かに停止命令を出されるまで転がり続けるものであるらしい。

 あれは、まだ子供もなかった昨年の冬である。私の私塾があんまりこぢんまりしているものだから、機転を利かせた妻が「ブログを作って、そこで幾ばくかの宣伝を行うべし」とのふれを出したのが、そもそもの発端であった。ワードより他にパソコンをいじらない私であるから、ブログを開設するという営み自体がとんでもなく大変なものに思われてならない。

 ここにメールアドレスを入れろだとか、ブログのタイトルを決定せよとか、他の誰かとかぶらぬようにIDを設定せねばならないだとか、文章をものすることより一層倍の難渋を強いられたわけであるが、傍らには私が投げ出さぬように監視を続ける妻の目があり、赤字で要訂正の文言が出される度に「もうダメだ」と敵前逃亡しようとする私を背後から機銃で以て狙うかのごとき迫力であった。

 かくして拙ブログは辛くも一応の出発を見たわけであるが、そもそも私は「宣伝」というものにまつわるカリスマ性をどこかに置いてきたきらいがある。どこかの国の宣伝大臣のように、わが私塾の美点を激烈なスローガンと共に全世界に発信したりすることが可能であったとしても、一度にどっと入塾希望者が訪れたりなんかしたら、とてもではないが指導の質的悪化は避けられない。

 そんなことだから、いつまでたっても「こぢんまり」しているのだ、という誹りこそ免れないものの、とりあえずは「宣伝」を兼ねつつ、そこに私の人間観や教育観なりを明らかにしていくことを通して、「なるほど、こんな考え方をする人間が営んでおる塾であるのか」と合点してもらう名刺代わりに記事をあげ始めた次第なのであった。