自作解題「令和五年度サツキ展」➁
●イチョウ(銀杏/公孫樹)
イチョウも盆栽になるのです。
この如何にも無策丸出しの形状をご覧下さい。おっと、ゆめゆめ横から見たりしてはいけません。くれぐれも正面から、そう、ひたすら鉛筆みたいに直立するアングルからご観賞いただきたい。
どうです、真っ直ぐでしょう? これを盆栽用語では「直幹(ちょっかん)」と申すのです。え? ただの棒立ちですって? うん、まぁ、でも、なんとなく面白いでしょう?
●ネムノキ(合歓)
朝(あした)に開き、夜に閉じる。これは植物生理によるもので、葉っぱの蒸散量を調節しているのだとか。それにしても昨今の暑気は酷烈で「これはいかん」と思うのか、このところは日中でもぴったり葉を閉じていることもしばしば。
あのピンクの可憐な花を見たいと思うけれど、まだ花の咲くまでには至らないもよう。とりあえずその涼しげな葉振りを愉しんでいただければ幸いです。
Ⅱ、インテルメッツォ(間奏曲)
●香炉
飾り棚は山を表し、その山あいにぽつねんと高楼が佇む。そんな風情。
流れいづる香気靉靆として雲をはき、琴棋書画に興ずる神仙たちの愉しげな笑声が幽谷に谺している・・・ような気はしませんか。盆栽を飾ることとは、こんなイメージの遊びなのです。