かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

自作解題「令和五年度サツキ展」➁

イチョウ(銀杏/公孫樹)

 イチョウも盆栽になるのです。

 この如何にも無策丸出しの形状をご覧下さい。おっと、ゆめゆめ横から見たりしてはいけません。くれぐれも正面から、そう、ひたすら鉛筆みたいに直立するアングルからご観賞いただきたい。

 どうです、真っ直ぐでしょう? これを盆栽用語では「直幹(ちょっかん)」と申すのです。え? ただの棒立ちですって? うん、まぁ、でも、なんとなく面白いでしょう?

ネムノキ(合歓)

 朝(あした)に開き、夜に閉じる。これは植物生理によるもので、葉っぱの蒸散量を調節しているのだとか。それにしても昨今の暑気は酷烈で「これはいかん」と思うのか、このところは日中でもぴったり葉を閉じていることもしばしば。

 あのピンクの可憐な花を見たいと思うけれど、まだ花の咲くまでには至らないもよう。とりあえずその涼しげな葉振りを愉しんでいただければ幸いです。

Ⅱ、インテルメッツォ(間奏曲)


●香炉

 飾り棚は山を表し、その山あいにぽつねんと高楼が佇む。そんな風情。

 流れいづる香気靉靆として雲をはき、琴棋書画に興ずる神仙たちの愉しげな笑声が幽谷に谺している・・・ような気はしませんか。盆栽を飾ることとは、こんなイメージの遊びなのです。

●ツタ(蔦)

 清流に掛け渡す竹の桟敷に、涼しげな一鉢を。

 二本の幹が絡み合う立ち上がり、そして洒脱な葉っぱの形状がグット。

 ツタと言っても、これはおそらく「アメリカヅタ」系で、そこここの建物を覆う方のツタの系統とはまた種類が異なるようです。さはれ、いづれのツタにせよ紅葉は抜群。また秋の展示会でお目にかけられればと思います。