かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

塾生心得 英語がワカンナイ 前編

 私のところへ来はじめたばかりの門下生から「先生、英語で点が取れません」という相談を受けることがあります。私はテストの点を上げるための勉強というのが好かないので、何が分からなかったのかと尋ねます。

 すると彼らはきまって「うーん」と考え込んでから要領を得ない答えをするばかりで、およそ何が問題だったのか分からなくて困っているらしい様子が窺えます。仕方がないので、教科書を見せてもらって単語や、文法について一個一個しらみつぶしに質問してみると、案の定あやふやな理解のものがほとんどで、とてもではないが基礎が全くなってない、よくこれでテストに臨んだものだと驚かされます。

 では、なぜこのような事態に陥ってしまうのでしょうか。ろくに勉強をしなかった、というのは論外ですが、それなりに勉強して教科書の本文やワークも一応解いたのに「なんだかなぁ」という結果に終わるのには、いくつかの要因が考えられます。

 まず第一に指摘すべきは、単語力の不足という問題でしょう。授業中に先生が和訳するのを聞き流して、何となく知ったつもりになっている単語でも、それが別の文脈で登場すると違った意味になっている、なんてことは言葉なのですから当たり前です。通り一遍に一単語につき一つの意味を覚えたところで、そんなものは付け焼き刃に過ぎません。

 ですから初見の単語は必ず辞書を引いて、寧ろ語源ごとそのニュアンスを把握してやろうという気持ちで調べてみなければいけません。そうすることで、派生的な単語を芋づる式に覚えることも可能ですし、知らない単語が出てきても文脈の中である程度の意味を推測出来るようになります。「こんなやり方、古典的だ!」と言われようが、お勉強に最新鋭もヘチマもないのです。語彙の力もなくてどうして言葉が操れるでしょう?

 そもそも単語を覚えることは、英語に限らず様々な言語を学ぶ際の基礎中の基礎であり、語彙をおろそかにして言語を学ぶことなど、いわばその言語に対する冒涜であり、足し算を知らずに積分を習うような暴挙に等しいのです。「まずは言葉を獲得せよ。」そう言われた新弟子の顔には「そう言われましても」と書いてあるけれど、ある程度の単語力が付くまでは何をやったところで付け焼刃にしかならないのだから仕方がないのです。(後編へ続く)