かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

かたつむり学舎の理念

塾生心得  ただいま勉強中 Ⅳ

新しいことを学びはじめる時、大切なことは何でしょうか。 私は「言葉を手に入れる作業」だと思います。自分の知らないことを学ぶに及んで、まず最初の関門となるのが「言葉」なのです。 「同じ日本語で書いてあるのに、何が書いてあるか分からない・・・」とい…

塾生心得  ただいま勉強中 Ⅲ

要点「だけ」をドカンと覚える。 つまりはテストに出そうなところだけを効率的に頭へ詰め込んで、とにかくあらゆる問題のパターンを網羅して、その攻略法をガリガリ勉強していく・・・それが私のかつての勉強スタイルでした。このような「点取り虫」的な勉強は…

塾生心得 国語力とは何か Ⅲ

●国語力のある人間とは何か? さて、改めて問いましょう。国語の力とは何でしょうか。私はそれを「消化する力」であると思うのですが、塾生諸君は如何でありましょうか。 国語が出来る、ということは「読めば分かる」ということであり、「自分の考えを述べる…

塾生心得 国語力とは何か Ⅱ

●英語学習は後からで十分 昨今の風潮では、随分小さいうちから英語の学習をさせるようですが、私から言わせればそんなことは「後からで十分」なのであります。なぜならそこには国語の土台もなければ、習い覚えた英語に対応する言葉が不在であるからです。考…

塾生心得 国語力とは何か Ⅰ

●文系ですが何か? 私はバリバリの文系でありますが、気がつけば塾生に微積分を教えたり、漸化式をレクチャーしたりしていることもしばしば。そんな事だから、私はぜひとも国語の講義をしたりテクストの〈読み〉についての意見を交わしたいのに、人々が数学…

塾生心得 「指導されたい!?」

学習塾の門を叩く生徒諸君および保護者の皆さまは、もしかすると「指導されること」を強く期待しているかも知れません。 「テスト対策はどうやって指導してくれますか?」と尋ねられても、私はおそらく曖昧な笑みを以て応えることでありましょう。なぜなら私…

塾生心得 共通テスト覚書 後編

「共通テスト」の国語で顕著なのは、二つの文章や添付されている図表を比較するというものです。以前は現古漢文を合わせて四つ、それぞれ二十分以内に読み込めば事足りたものが、しめて五つになったり、論説文にチャートが付いたり、果ては資料にまで目を通…

塾生心得 共通テスト覚書 前編

私はやっぱり「センター試験」と言ってしまうけれど、まぁ、大学入試センターがやってる試験なわけだから、ギリ間違ってはいないということでご容赦いただきたい。 それでもこの程の「共通テスト」というやつは「センター試験」と比べると、どうも毛色が違っ…

塾生心得 特効薬と漢方 後編

私の指導方針が「特効薬」タイプであるか、「漢方薬」タイプであるのか、塾生のみなさんであれば、もうお分かりのことでしょう。 今現在、痛い所にすぐ効いてくれる薬が「特効薬」であるように、教育における「特効薬」とはテストで点を取らせることにだけ特…

塾生心得 特効薬と漢方 前編

身体に異変が起こった時、普通私たちはお医者さんに駆け込んで薬をもらいます。何なら「診てもらいに行く」と言うより先に「薬もらってくる!」なんて言って、そそくさと出かけていくものです。 かくして私たちが頼りにしている薬、おもに西洋医学的な見地か…

塾生心得 訂正の精度 後編

「訂正」とは「学び」のチャンスであります。 だからこそ、正解するよりも訂正することの方がよっぽど難しい。 正解とは正直なところ、実に味気ないものなのかも知れません。クイズ番組を見ていても明らかなように、ピンポーンと正解してポイントが加算され…

塾生心得 訂正の精度 前編

この間、ふとこんな警句が口を突いて出ました。 「間違いを訂正することは、問題を解くことより難しい。」 我ながらなかなかどうして、深い事を申してやったぜ、とひとりして悦に入っていたところ、「え? 先生、これってどこか間違ってます?」と言われて「…

塾生心得 国公立を目指す人へ 後編

定期テストではそれなりな点数を取れていたし、その時になってホンキを出せば、国公立大くらい行けると信じている受験生。これは歯が抜けるほど甘い考えであります。 「金に糸目は付けない」という親の勧めで、名の知れた進学塾の門を叩いて、みっちりコース…

塾生心得 国公立を目指す人へ 前編

ちょっと、喩え話をしましょう。 ここに自惚れの強い大工がいます。この大工、とある大金持ちに依頼されて、とにかくデカくてゴージャスな家を建てることになりました。 「金に糸目は付けない」との注文通り、一流の建材を揃えて、さて作業に取りかかったも…

塾生心得「言語化してますか?」後編

「参勤交代」が何かを説明するためには、その歴史的意義はもちろんのこと、それを説明するための「江戸幕府」であるとか「大名」の位置づけであるとか、諸々のキーワードについても語れる状態でなくてはいけません。 これが出来ていないからこそ、結局のとこ…

塾生心得「言語化してますか?」前編

「参勤交代」とは何ぞや! という先制パンチを受けて、そいつをひらりとかわしながら「それは、江戸幕府が」云々と講釈をはじめられた君は大丈夫。多分この先の話を読まなくとも、もう既に肌身に染みて分かっていることだろうから、別の記事を読むがよろしい…

塾生心得「文章問題がちょっと・・・」後編

文章問題でつまづく生徒に顕著なのは、彼らが非常に近視眼的な考え方で、文章題にアクセスする傾向であります。 「書いてあった数を単に足せばイイ」とか「これは一次方程式の問題だから必ずそれで解かなければならない」なんて了見であるから迷子になるので…

塾生心得「文章問題がちょっと・・・」前編

「ウチの子、計算はちゃんと出来るんですけど、文章問題がニガテなんです。」というお母さん達からのSOSを受けることがよくあります。 それでもバチあたりな私は、そんな話を半分聞き流しながら「ああ、この子は国語がニガテなんだなぁ」と、一人納得して…

些事放談「議論出来ないオトナ達」

教育に悪いものを子供に見せるな! というのは、最早古典的な台詞でありましょうが、昨今はメディアが増殖に増殖を重ねた結果、最早オトナのわれわれが子供の観ているものを全て把握することも至難の業となってきました。 テレビが一家に一台で、チャンネル…

塾生心得「それって、オフライン?」後編

勉強において大事なのは知識の量というよりむしろ、知識と知識の繋がりだと私は常々思うのです。 知識が線状に繋がっていれば、たとえそのうちのどれかを忘れているとしても、知っているところから糸を辿ってその知識を呼び戻すことが出来るのです。これぞま…

塾生心得「それって、オフライン?」前編

通分の習い始めは、まず約分の逆をするところから。今まで分子と分母を同じ数で割っていたのを、今度は分子と分母に同じ数をかける操作が必要になるわけです。 「約分の逆だ」とすぐに気づく子はきっと、何だよこの間までせっかく約分して小さくしてきたのに…

塾生心得 正しく選ぶ為に 後編

前回私は「義務教育」の意義を、一個人が主体的に「選択」するためのスキルを涵養するところにあると述べました。情報を読み解くリテラシー能力、そして社会と人と適切に関わっていく能力こそが、私たちに正しく判断し、そして「選択」するための足がかりを…

塾生心得 正しく選ぶ為に 前編

なぜわれわれは、自分から望んでもおらぬのに「義務教育」を受けなければならないのでしょうか? なぜこの国の大半の人々が、それを修了した後もわざわざ高等学校へ行き、今や結構な割合で大学へ進学するのでしょう。諸君はそんなことを考えた経験はあります…

弟子達に与うる記(4) 学問を血肉化せよ

本で読みかじって知った気になっているだけ。それを自分の言葉に落とし込むことも出来なければ、そこから自分の考えを新たに出発させることもできない。それは血が通っていない「借り物」の思想であります。 そんな「人のフンドシで相撲を取る」人物のタチの…

弟子達に与うる記(3) 人のフンドシで

この間の読書の話で、ちょうど「消化」についてふれたので、忘れないうちに補足をしておくことにします。 本、あるいは大学の授業で皆さんは「理論」や「思想」というものを学び、必要に応じてそれを吸収することでしょう。 精神分析、民俗学、テクスト論、…

弟子達に与うる記(2) ポケットに本を

別に読む気がなくても、授業がフルコマで忙しい日でも、ポケットに無理矢理ねじ込めとは言いませんから、カバンの片隅に一冊の本を忍ばせておいてほしいものです。 とにかく学生時代というものは、読書を通して自分の考えや思考力を磨くことが肝要です。本を…

塾生心得 リセットしてよいのは 後編

さて、間違いというものが決して無意味ではない、と知っている皆さんは、よほどのことがない限り自分の計算式を含めた解答を「リセット」しにかかるということはないでしょう。 「なぜ間違えたのか?」「どこでやらかしてしまっているのか?」という問いを立…

弟子達に与うる記(1) 序

四年、六年と私のもとに通ってくれて、今日がその最後になる日だと言うのに、私は決まって上手い言葉をかけてやれません。 ホントは伝えたいことが、山ほどあるのだけれど。微積の問題を解説しながら、全く別の話をしたくて堪らなくなるのだけれど。いざとい…

塾生心得 如何にゲームを攻略するか 後編

国語、算数、理科、社会、そして英語。どの教科にしたって、そこには特有の法則があり、独特な言葉の使い回しが存在します。 これらの勉強がよく出来る、と言われる人々はそうした法則を理解し、まさにそのルールの中で適切に記号を操ることで、素敵な得点を…

塾生心得 如何にゲームを攻略するか 前編

さて、みなさんはテレビゲームをしますか? なるほど、ゲームなぞしておる余裕もなく、勉強に追われている? さもありなん、さもありなん。え? 息抜きにちょっと、ですって? いやいや、そう恐縮めされるな。実を申せば、私も大好きなのです。テレビゲーム…