作文は「マネ」をすることで上手くなります。
いや、「マネ」をしないことには、上手くなるわけがないのです。
好きな絵本の語り口、どこかで聞いた言い回し、気に入った文章、これらはどんな教科書よりも雄弁に作文のいろはを教えてくれます。
以前お話ししたように、作文とはアウトプット(表現)の勉強です。自分の頭の中にある、書きたいネタを、自分の知っている言葉で、自分が使える文型を用いて文章にしていく作業が「作文」というもの。
いかに起承転結を教えたところで、何も書けない子が出てしまうのは当たり前。知っている言葉が少なければ、そして使える型(カタ)の持ち合わせがなければ、作文はどこまでも不自由で、つまんなくてツライ作業になっていきます。
そうです、だからこその「マネ」なのです。
オトナの口調をマネる子供は、そこから新たな言葉を輸入していると言えます。それを突拍子もない場面で披露して笑われるのは、その言葉の使い方がイマイチ分からなくて、こなれていないからに外なりません。
このような経験を繰り返して、子供は言葉を増やしていくわけですが、それは文章の作り方を学ぶ場面においても全く同じことなのです。
文章表現、文章のスタイル、区切り方を身につけたいのであれば、パクリと言われようが何と言われようが、まずは「マネ」てみなければ、その文体を使ってみなければ、何もはじまらないのです。
ですから、もし作文の教材を作るとしたら、それは子供達に「お、これ、パクってみようかな」と思わせるようなものでなければなりません。
オノマトペだとか、描写の仕方だとか、比喩だとか、とにかくあらゆる具体例を盛り込んだ「こんなのどうかな?」を見せる。さすればきっと、原稿用紙に踏み出す彼らの一歩に、少なからざる追い風が吹くはずなのです。