かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

塾生心得 如何にゲームを攻略するか 後編

 国語、算数、理科、社会、そして英語。どの教科にしたって、そこには特有の法則があり、独特な言葉の使い回しが存在します。

 これらの勉強がよく出来る、と言われる人々はそうした法則を理解し、まさにそのルールの中で適切に記号を操ることで、素敵な得点をあげている一流のプレーヤーなわけです。

 一方、どうにも自分の勉強が得点に結びつかない、または特定の教科に苦手を感じてしまう人々は、どうにもそうしたルールに順応出来ないばかりに、ステージクリアがままならず苦しんでいることがほとんどのようです。

 大切なのは、数学なら数学、理科なら理科のルールと言葉、つまりは文法に慣れ、これを使いこなせるようになることなのです。それは買ったばかりのゲームの攻略に乗り出すことと何の違いがありましょうか?

 では、数学を例にとって見てみましょう。

 足し算、引き算、そしてかけ算・・・いわゆる基礎計算とよばれる数学のルールは、およそゲームで言うところのジャンプや、ダッシュのボタン操作のようなものです。

 これが上手く出来ないと、いとも簡単に落とし穴に嵌まったり、敵から逃げ切れずにやられたり、とてもじゃないが攻略と名の付くようなことはできません。

 それは基礎計算がぼろぼろな状態で、より抽象的な高校数学に精通することが出来ないことと同じであります。基本操作が覚束なくては、ラスボスへの道のりが限りなく遠いものとなることは、幼稚園児だって知っています。

 いずれの教科にせよ、基礎となる操作、つまりはそれぞれの学問領域が用いる言葉や記号の操り方、それこそ「文法」がなっていないと、次々と投げかける問いには答えられません。別な文法で問題に答えたところで、それは無効なボタンの連打に過ぎないのです。

 こう言っては怒られるかも知れませんが、いかなる学問も私にとってはゲームの延長であります。そのゲーム(学問)を進めるため、われわれは基礎となる言葉を学び、法則を学び、そのゲームに参加する資格を得ると同時に、はじめてその攻略に乗り出すことができるのです。

 そのプロセスはまさに、新たな世界に足を踏み入れるワクワク感と、どうやってこれをやり込んでやろうかという、ハマり感をもたらす、ゲーマーにとっての至福と言うべきでしょうか。

 はてさて、少々気持ちが入りすぎた点も否めませんが、私たちがゲームから学ぶことは意外と多い、いや、ゲームが寧ろ学問の似姿なのかも知れません。

 そして最後に、心からゲームを愛する一人のゲーマーとして言わせてほしいのです。塾生諸君、スマートフォンの画面上で、ちまちまとソシャゲに時間を費やすくらいなら、新旧問わず名作と呼ばれるゲームを、頭から尻尾まで一度味わい尽くしてみるにしくはありません。