かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

蝸牛随筆(12) チャイルドシート綺譚Ⅱ

 なるほど、ありとあらゆる機能をとりあえず満載させて、某のマークが付いていて、金額的にもそれなりのものを購入すれば、きっとこの一家のように素敵な幸せが訪れるであろう、というメッセージがビンビン伝わってくる。

 だが、それってどうなのだろうか。ここで安易に不明な点しかないけれど各種機能マシマシの品を考えなしに購入するというのは、何か大事なことを失念しているような気がしてならない。もしかするとこの家族も、この数秒後に赤ちゃんが粗相をしてぐずり出して、慌てて駆け寄った両親が転倒して、これまた高級そうな家具の角に頭をぶつけて一種の地獄絵図と化すことだってなきにしもあらずである。金額イコール幸福という等式は、先ず以て疑ってかかるにしくはない。

 第一、私だってかつてはチャイルドシートに搭乗していたわけであるが、その頃のチャイルドシートには何か足りていないものがあったということなのだろうか。私は悪い物に乗っていた、ということなのだろうか。もしそうでなかったとしたら、何故かくも大量に「新しい製品」が出回ってくるのだろうか。

 いや、それでも私は今現在のところ少なからずハッピーである。毎晩のように晩酌をして太平楽を並べる心のゆとりだってあるわけだから、チャイルドシートにがちゃがちゃと機能が付いていなくたって、人間はそれなりに幸せに育っていくことが出来るということの証明がここになされているはずではないか。

 では私は如何なるチャイルドシートを購入すべきであるのか。いや、如何なる基準を以てチャイルドシートを選ぶべきであるのか。

 世の中には殊勝な人があって、わざわざ「チャイルドシートを選ぶ際のオススメポイント」などを仔細に紹介していたりすることがある。なるほどそれは、世の中の益となるところが多い気がするわけであるが、直ぐさまそういったものへ走ることを好しとしない性向が私にはあるらしい。

 折角要点をまとめて下さっている方々には申し訳ないかぎりであるが、私は型録でもなくネットのまとめ情報でもない第三の道を行くことにしたのである。