かたつむり学舎のぶろぐ

本業か趣味か、いづれもござれ。教育、盆栽、文学、時々「私塾かたつむり学舎」のご紹介。

文学

軍隊学校之記(20) 加奈陀旅行記Ⅳ

お前、ホントに外国行ってきたのか? というのは、懐かしい「寅さんのおいちゃん」の台詞。 ええ、行ってきましたとも。何ならアメリカだって遠くから見てきた次第で。 流石はイギリス植民地、女王陛下の名を冠した州都ヴィクトリアより鉛色した海をのぞめば…

軍隊学校之記(19) 加奈陀旅行記Ⅲ

甘いチャーハン、ブロークンなイングリッシュに打ちのめされ、「曖昧な日本の私」すら封じられた私は、スチームが蒸してきたベッドルームで貪るように新潮文庫を読んでいました。 そこは普通「郷に入っては何とやら」だろう?と思われる方もあるかも知れませ…

蝸牛独読(8)「くまさぶろう」を読む#5

四、〈忘却〉としてのくまさぶろう 「どろぼう」の上手い下手は、ごく一般的に考えて、アシが付きやすいか否かに関わってくるはずです。何の痕跡を残すことなく、お目当ての物だけ回収して警察もお手上げ、というのが上手な泥棒じゃないか、といったん定義し…

蝸牛独読(7)「くまさぶろう」を読む#4

三、自利から他利への成長譚? 前回はくまさぶろうの〈異人〉的な特質に触れながら、その「どろぼう」スキルが人の心を盗むまでに特化される過程を読んで参りました。 「やどなし」になったくまさぶろうは、その新たなスキルを頼りに、レストランで食事をす…

国語の時間「小説の読み方」

生徒のみなさんの中には、一定数「感情移入」という方法で小説の問題を解いている人もいるようです。 作中人物の気持ちになって考える。なるほど、物語に没入して読み進めるという方策は、確かに理解を早めるものやも知れません。ですが、もしもその作中人物…

蝸牛独読(6)「くまさぶろう」を読む#3

二、孤独なるストレンジャー くまさぶろうの「どろぼう」スキルは、前回確認した通り、どうにも人間離れしたところがあります。 前半部では物を盗み取ることに長けたスキルが、後半部では何と「ひとのこころ」を盗み取るまでに成長(?)しているのです。 それ…

蝸牛独読(5)「くまさぶろう」を読む#2

一、skillful robber テクストは冒頭から第一の謎を投げかけて来ます。「どろぼうのめいじん」と紹介されるくまさぶろうでありますが、何と彼は「はじめのころ」「それほど じょうずなどろぼうでは」なかったというのです。 まず「はじめのころ」とは、いつ…

蝸牛独読(4)「くまさぶろう」を読む#1

みなさんは『くまさぶろう』という絵本をご存知でしょうか? 名前のインパクトもさることながら、お話もくまさぶろうのビジュアルも、一度読んだら忘れられない一冊となることは間違いないでしょう。 では「くまさぶろう」とは一体、何者なのか? くまさぶろ…

国語の時間「わりきれない気持ち」

「楽しみでもあるけれど、不安でもある。」「表面的には嬉しいのだけど、心のどこかに哀しみを覚えている自分もいる。」などなど。 こんな風に、人の気持ちというものは時に複雑な様相を呈するものです。もちろんそれは小説の登場人物も同じことであり、ため…

作文の時間(9) 比喩ってなぁに?

「かぼちゃに手裏剣を打ったような」出で立ちのお武家さま、「忍術使うような」目をして化粧をはじめる女将さん。 落語はまさに比喩の宝庫です。どこから何が飛び出すか分からない、そんな、アッと驚く言葉に魅了されたり、腹を抱えて笑ったり。どこかの誰か…

蝸牛独読(3) ひなたと英語

今こそ朝ドラ「カムカムエブリバディ」を読む。英語をテーマにテクストの分析を進めていきます。

蝸牛独読(2) 傷と癒しをめぐって

NHKの朝ドラ「カムカムエブリバディ」を〈読む〉試みの、第二弾としてお送り致します。 二、るいと英語 この物語の中で最も陰影深く語り出されるのが、安子と稔の娘「るい」でしょう。父親の顔を知らない彼女は幼少期に母安子と決別し、長じて間もなく父方の…

蝸牛独読(1)「カムカムエブリバディ」

〈読む〉こととは、ひとつのテクストを分析し、解釈を生産する試みです。それはテクストに使用された言葉を用いて、新たな意味を生成するクリエイティブな作業である反面、ともすれば恣意的な独りよがりに陥りかねない危険性も孕んでいます。頼るべきは、自…