新 盆・歳時記 ①
●水やり
レベル一、枯らさないようになること。
レベル二、水やりが日常の一部と化すこと。
レベル三、鉢ごとに時間差で水をやりはじめる。
レベル四、離れていても一鉢ごとの乾き具合がなんとなく分かってしまう。
かくして盆栽ライフの土台は作られていく。水やりは大事な健康観察の時間であり、欠くべからざる愛樹とのコミュニケーションの時間でもあるのだ。
「いつまで水やってんの!」と家人が呼んでいる。いかんいかん、今度は我が子にミルクをやる時間である。
●施肥
陽光に勝る養分はないのであるが、サプリメント的な位置づけで成長期に元気をつけてやる。何事も与えすぎは禁物であるが、効き目はすっかり葉の色に表れる。
「あれが効くらしいぞ!」と耳にすれば、まず試してみる。自分の健康なんぞそっちのけで、樹の健康ばかり考えるようになったら、立派な愛好家の出来上がりというものである。
●剪定
「だいじょうぶ、きっと(次の芽が)出るから切っちゃえ」と言われても、構えた鋏がうろうろと虚空を彷徨っている。
現行のサイズを維持するためには、剪るよりほかないのだが、勝手が分からぬ樹であるとどこまで剪ったものか思案に暮れる。さはれその時間こそが、樹ととっくり話し合う絶好の機会なのやも知れない。
「新しい髪型がいいかい?」「いや、基礎に忠実に願います。」